マニア以外向け。鉄道を有効利用しましょう。その1『通過連絡運輸設定区域の話』

初めにお断り

この内容に関してですが、この南武線を使った通過連絡運輸制度は2010年3月の横須賀線武蔵小杉駅開業前日に廃止されました。
また、東横線だけではなく小田急を使った通過連絡運輸も同時に廃止されています。
この日記を書いたのは2009年8月ですので、日記公開時はまだ有効だったことを予めご了承ください。
なお、この制度は普通乗車券と定期券について存在しましたが、定期券の方はまだ有効みたいです。
廃止になったのは普通乗車券の方です。


以下、元文です。


ある駅でいつも利用している路線で、こんな珍現象が見られると言う話が最近飛び出した。

池袋⇒渋谷:JR東日本山手線、160円
渋谷⇒武蔵小杉:東急東横線、190円
武蔵小杉⇒武蔵中原JR東日本南武線、130円

上記は池袋から東横線を経由して武蔵小杉を通って南武線武蔵中原と言う駅に向かう場合の運賃。
間に私鉄が入るので、3社分を利用すると言うことでその合算を払うのだが、合計は480円となる。


ところが、ここ最近はインターネットの普及でYahooやgooなどでも路線検索サービスが発達。
鉄道に詳しくない人には重宝しているらしい。
この路線検索で珍妙な現象が見られたというのだ。
それは、上記金額でのる路線のはずなのに、路線検索で池袋⇒武蔵小杉を検索するとこのような結果がでる。


池袋⇒渋谷⇒武蔵小杉⇒武蔵中原:350円


皆さんも検索してみてください。
ちゃんとこう出ます。
ちなみに、同じ検索ソフトで池袋⇒武蔵小杉を検索すると350円となる。
果たしてこれはどういうことなのか?
路線検索ソフトが間違っていることはないとすると、どういう現象なのか。
実は数年前に、知人が私にこれについてたずれられたことがある。
もちろん私が『マニア』だからだがw



さて、今回のこの珍現象は別に間違っているわけではなく、日記のタイトルにもなっている『通過連絡運輸設定』という特例が絡むために起こる珍現象なのだ。
さて、鉄道に詳しくない人には全く持って意味不明な言葉だとおもうので、この『通過連絡運輸設定』と言うのを簡単に説明する。

JR-私鉄-JRと乗り継ぐ場合、両端のJRの距離を通算しJRを1回利用したとみなす

という特例制度なのだ。
これでも分からないという方にもっと砕いて説明すると、今回はJR東日本山手線-東急東横線-JR東日本南武線という両端はJRだが、あくまでも3社を利用と言うことなので、普通は3者分の合算になるところを『両端のJR東日本の部分を1つの路線として通算する』と言うことなのだ。
つまり、極端に書くとこうなる

JR東日本山手線⇒東急東横線JR東日本南武線

これが

JR東日本東急東横線

ということになるのだ。
これが『通過連絡運輸設定』を当てはめた場合の結果になる。
では両端のJR東日本はどういう計算されるのか?
それは距離を通算し、その合計距離の運賃を請求するのである。
分かりやすく図で説明する。
今回の行程はこうなっている。

この赤い部分のJR部分をひとつの路線とみなして、距離を通算するのだ。
つまり『1.7km⇒130円』『8.2km⇒160円』という2回の運賃請求を『JR東日本1.7km+8.2km=9.9km』として1回の運賃請求にするのである。
ちなみに、東京近郊の電車特定区間運賃の9.9kmは7km〜10kmの範囲にあるため、160円が適用される。
これと東急東横線の運賃の合算である350円が請求運賃となります。
先ほどYahoo路線検索などで調べて、勘が鋭い方は気がついたかもしれないが、路線検索で調べた場合こう表示されるはずだ。

つまりまとめておいくらと言うこと。
これがこの区間になにか特例が設けられていると言う証拠で、この制度を利用する場合のヒントにもなっている。


どうすれば利用できるのか?
今回の特例制度は利用する区間の範囲が決められています。
それは下記の範囲

南武線:矢向-宿河原と山手線内の各駅を利用する際に、武蔵小杉、渋谷乗換えで東急東横線を利用する場合

この条件下で、この特例が認められています。
意外と知られていない制度のようで、今回知った人は『こんな制度があったのか・・・』と肩を落とさずに今後もじゃんじゃん利用しましょう。
さて、今回この制度を適用してもらうには、実は難しそうで簡単なのです。
条件はたった1つだけ

乗る駅から降りる駅まで一挙に買うこと

これだけなのです。
ですから、該当範囲内の使用が分かっている場合は最初に必ず購入してください。
自動券売機もちゃんと買える様になっています。
ちなみに最近普及しているPASMOsuicaですが、乗換駅で一定以上の時間経過をしなければ自動的にこの制度に組み入れられるいう話ですが、私はいつも最初に切符を買うので実際にsuicaとかで利用したことがないので確認してません。


この制度は他にもあるのか?
実は結構あるんですよ。
南武線と山手線内は、登戸、新宿乗換えで小田急を利用した場合にもあります。
こちらの場合、山手線内各駅と南武線武蔵中原-南多摩が対象です。


他にも下記の路線で採用しています。
東京メトロ

千代田線:北千住-西日暮里を経由した通過連絡運輸設定


北千住側
常磐線、亀有-取手
武蔵野線、新松戸経由で吉川-南流山


西日暮里側
東京23区内全てのJRの駅
京浜東北線、大宮-関内
埼京線全部
中央線、吉祥寺-三鷹
横須賀線新川崎

東西線西船橋-中野を経由した通過連絡運輸設定
西船橋
総武線、下総中山-千葉
京葉線、南船橋-千葉みなと


中野側
中央線、高円寺-三鷹

このほかに福岡市営地下鉄(博多-姪浜)、伊勢鉄道(河原田-津)、鹿島臨海鉄道(水戸-鹿島サッカースタジアム)、北越急行(六日町、十日町犀潟)などでも実施しています。
他にも全国各社で採用例がありまが、全部書くといっぱいになるので端折ります。
ただし、りんかい線(大崎-新木場)はやってませんので注意してね。
なお、この特例普通乗車券だけでなく定期券でも可能です。
もちろん、定期券の場合も乗る駅から降りる駅までの定期を1枚にする必要があります。
定期券の場合、関東では東武鉄道でも扱いがあります。
東武鉄道は普通乗車券の制度は廃止しましたが、定期券の方は残しています。
具体的にこの制度があった区間は、東武東上線の川越-池袋と、東武野田線の柏-船橋です。
この区間を定期で利用して両端がJRを利用している人は、駅員と相談してみてください。


以上、通過連絡運輸設定についてのお話でした。
次回もなにか機会があったら、書き込んでみたいと思います。