ライトノベル『ヤンキー巫女逢桜伝』

ヤンキー巫女逢桜伝 (B’s‐LOG文庫)

ヤンキー巫女逢桜伝 (B’s‐LOG文庫)

地元じゃ筋金入りのヤンキーだったあたし=穂倉梓は、今はド田舎の村で巫女をやらされてる。
今日も心は穏やかに、神事のイロハは丁寧に……ってマジウゼエ!
しかもそこに"自称・神サマ"のクラスメイト・染井良信が現れて、「僕の父親を探してください!」ときたもんだ。
退屈もウンザリだがな、面倒に巻き込まれるのは御免なんだよ!!
――はぐれ巫女&チェリーな神様コンビが、閉ざされた村の闇をぶっ潰す(釘バットで)!

ヤンキー巫女の苦労する話w


デビューしたての新人さんです。


元ヤンキーで両親をいきなり事故で亡くして、母の実家の片田舎で神社を営む祖母の家に引き取られ巫女をやる羽目になったた娘『穂倉梓』と、その地でであった『半分神様、半分人間』な新人神様ハーフの『染井良信』がコンビで送るドタバタアクション。
この物語、人間が多いはずなのに人間の登場人物少ないw
そして、出てくる人(神?)が個性豊かな性格の持ち主ばかりで、なんだかんだ言って実は『穂倉梓』が一番まともな性格だったりする。
しかも、意外とお人好し。
そして、この物語には神様が数名出てくるのだが、どいつもこいつも変人ばかり。
神様ってこんなものかと思わせるような変人っプリには思わず笑いが。
パートナーとなる『染井良信』は一見真面目でクールなおとなしい系理系男子であるが、実は神と人間のハーフ。
父である神様の血を受け継いでいるだけあって、やっぱりまともじゃないw
このように個性豊かな連中が取り巻く環境にあるため、『穂倉梓』の苦労は絶えないが、それらを耐えしのびつつ村の古くから伝わるしきたりと、村の実力者との関係になにやら不穏な影があることを察知し、ありとあらゆる手を使って調べようとする。
そして村の古くからのしきたりと、その謎を掴んだ二人はその謎に挑むのだが、ここまでの物語の筋道は結構上手に出来ていて、新人の作品としては優秀じゃないかな。
著者本人も伝承とか民俗学に詳しいらしく、そういった内容を織り交ぜながら、物語のクライマックスは意外にも理系で攻めたりして、テンポもよくなかなかの良作だ。


新人ながら、構成力、キャラクターの扱い方などが比較的良く出来ている作品だと思うが、狭い範囲の片田舎の村のしきたりを解決した以上、もう村には問題が残ってないので続刊出すネタには困るだろうと思う。
今後このシリーズで行くのか行かないのかは、分からない。

総合評価:★★★★