快速運転の隠された真実

さて、昨日は京葉線JR東日本の不動産時事業について書きましたが、今度はちょっと変わった話。


快速運転の廃止にともなう事業の展開とかわり、今度は快速運転による効果の意外な裏側ということを考えようかと。
快速運転はそもそも何のためにあるかということですが、それは遠距離利用の促進と速達化にあるというのはそうなんですど、それ以外が大きな目的である快速運転というのがいくつか存在します。


南武線快速
南武線快速は途中一本も普通列車を抜かずに、しかも武蔵溝ノ口-武蔵小杉は連続停車という異例の快速です。
この快速はその停車駅と目的からして、明らかに武蔵中原武蔵新城の客を相手にしていることは明白です。
実はこのふた駅、南武線の普通駅では飛びぬけて利用客が多く、かつ武蔵小杉、武蔵溝ノ口で降りてしまう客が多いのです。
どのくらい多いかというと、登戸-立川の乗り換えのない駅全駅を足しても、この2駅の合計におよびません。
そして武蔵溝ノ口と武蔵小杉の配線上、この両駅での折り返しが難しいので、川崎と登戸まで運転していると思います。
さらにはこの駅以外をほぼ通過することにより、時間短縮して運用本数をいたずらに増やさない効果も狙っていると思います。


このように快速運転をしてピンポイントで乗降客を拾う停車パターンにして各駅停車の増発を行う作戦ですね。



京浜東北線快速
京浜東北線の快速は山手線を各駅停車として日中は快速運転しています。
この快速も山手線に対する速達化かと思われがちですが、その隠された裏側とは?


京浜東北線の快速運転開始は1988年のことで、JR東日本になってから約1年後のことです。
さて、この京浜東北線快速運転の裏で、関係する2つの事柄が変わります。
まずひとつは、山手線と京浜東北線の分離運転。
実は京浜東北線と山手線は、京浜東北線快速運転が始まる前まで、線路を共用していました。
その区間は田端-田町で、閑散時間帯となる10:30〜15:30ころ。
おりしも、今の快速運転と同じ区間時間帯です。
快速運転前は山手線の線路を京浜東北線が走ったり、その逆が毎日あったのです。


そしてもうひとつが山手線の増発です。
京浜東北線は今と同じ5分間隔ですが、山手線はというと、当然ながら共有時間帯は5分で走らないといけません。
これは当たり前ですね。
さて、ここで問題が生じます。
山手線はご存知のとおり周回運転しています。
ということは5分間隔で走ればどこでも5分間隔です。
今の山手線の同時間帯は4分間隔です。
この4分間隔は実はこのときの増発により増えたのです。
それは新宿、渋谷、池袋の存在。
当時は埼京線湘南新宿ラインもない時代、山手線は東西の両側で極端に利用客の差があったのです。
東側は5分でも京浜東北線があるからいいですが、西側は山手線しかありません。
しかし周回運転のため、どこでも5分間隔なのが西側の利用増加に裁けなくなったと思われます。
私はこれこそが、京浜東北線の快速登場につながったかと思います。
ということでJR東日本は山手線を5分から4分に間隔をつめることになるということにしますが、これで2つの困った点が出てきます。
ひとつは共有運転についてです。
間隔がずれたため、何分ずれようとも20分に1回は必ず同じ時刻にぶつかります
これを解決するには京浜東北線の運行も4分間隔にするか、本来の線路を走らせる分離運転にするしかないです。
そしてもうひとつが山手線が1時間当たり12本から15本になり、内回り外回りあわせて6本の運用増になることです。
ということで、京浜東北線を4分間隔にすると、ずらしても2分おきに運転される東側は完全な輸送力過多。
かといって分離運転するとしても20分に一回は併走するという効率の悪さです。
しかも山手線の運用は増えて、コストUPです。
それで考えられたのが京浜東北線の快速運転ではないかと思います。
京浜東北線は日中は大宮-大船の運転が10分サイクルで、南浦和-磯子が10分サイクルで交互に走るのが基本ダイヤ。
前者は1時間57分かかり、後者は1時間30分かかります。
両方とも折り返しに3分とると、2時間3分、1時間36分に増えます。
これを満足するために必要な京浜東北線の運用本数は46編成になります。
ではこれを快速運転して7分の時間短縮になった場合*1はどうなるのか?
大宮-大船が1時間56分、南浦和-磯子が1時間29分になります。
そうなると、運用本数は42編成にすることが可能です。
4編成減らせられます。
山手線で増えた運用を、京浜東北線の快速運用で減らして、できる限り相殺する。
これこそが京浜東北線の快速運転の真の理由ではないかと




ただし、あくまでも個人の推測ですがね。

*1:当時のダイヤで