『死闘!!古着屋総兵衛影始末1』

元和二年、死の床にあった大御所家康は秘密裏に元西国浪人の鳶沢成元を呼び、表向きは代々古着問屋・大黒屋総兵衛として、裏では徳川家護持のため影旗本としての勤めを果たすように命じ、書付と愛刀三池典太を与えた。
時を経ること八十余年、元禄十四年、闇の勢力が突如一族に襲いかかる。六代目総兵衛の祖伝夢想流秘太刀が血しぶきを呼ぶ!

佐伯先生の痛快娯楽新シリーズ。
2000年から始まっているので、密命、秘剣、夏目影二郎などに続く佐伯先生の仲では古いシリーズ。
鎌倉河岸、居眠り磐音よりも古い。
とはいっても、1999年頃から立て続けに出したシリーズの中のひとつに過ぎない。


舞台は5代将軍綱吉治世のころ。
神君家康から、影の旗本として古着屋を営むこととなった大黒屋はその命を受けたまま、数々の影からの依頼をこなしてきた。
現在の大黒屋総兵衛は6代目。
その大黒屋の影の顔を知った謎の勢力が大黒屋を潰そうと画策するため、大黒屋に超セしてきたところから始まる。


佐伯先生の作品は、あまり人が死なずその死にも意味があることが多いが、この古着屋総兵衛は人が死ぬ死ぬ。
とにかく、平和になった江渡治世のもと、如何に戦いを行わせるかにスポットが当てられた。
その設定がこの商人ながら影の旗本と言う設定だ。


そのため敵も京大ながら、迎え撃つ大黒屋の面々も一筋縄ではいかない猛者たち。
当然ながら、まさに死闘のごとく豪快かつスピーディー。
ここが他のシリーズとちがうところだ。


最後には、まだ何かを起こさせるような予感をさせる展開も、次へ期待させるには十分。
いままでの佐伯先生のシリーズとは違った魅力があるシリーズとなっている。
評価:★★★☆