ライトノベル『天才ハルカさんの生徒会戦争』

天才ハルカさんの生徒会戦争 (ガンガンノベルズ)

天才ハルカさんの生徒会戦争 (ガンガンノベルズ)

普通の生活を愛し、平凡を人生の目標とする真一郎の前に現れた、見た目だけは申し分ない美少女・桜楽坂ハルカ。
伝説の生徒会長を名乗る彼女は、真一郎にとんでもない話を持ちかける。
なんと全国から生徒会ばかりを集めた超エリート高校・天壌宮学園に転校し、1000を超える生徒会が覇を競う「生徒会戦(S-1グランプリ)」に参加するというのだ。
奇想天外なハルカの行動に、否応なく巻き込まれていく真一郎。
果たしてハルカの正体は? 真一郎の運命はいかに? 生徒会戦の行方はいずこへ!?

どこもかしこも生徒会だらけ


著者松山剛といえば、あの新風舎で不遇な運命を歩んでしまった作家。
その後、一迅社文庫で『銀世界と風の少女』を出したけど、それ以降の久しぶりの長編新刊ですね。


さて本編ですが、この作家さんいつも思うのですが途中まではいいんですよ
前の銀世界も設定がすごくて、物語の導入部でどうなるんだろうと期待をもたせるのですが、最後がよくないのです。


この生徒会戦争もその一言が出てします。
最初はいいんですよ。
ハルカさんも何だか濃いキャラですし、幼馴染もすごいキャラです。
主人公はよくありがちな平凡を絵にかいたような主人公で、基本的なところは悪くありません。
また、メインとなる生徒会学校でも複数の生徒会が出てきて、それぞれ役割を担っているしあまり不都合がないように描かれています。
特にわざわざ見開きで紙面びっちりに書かれた生徒会一覧には驚きました。


しかし、最後がやっぱり・・・。
なんというか、あの主人公補正は卑怯というかなんでこうなるの?とかいうレベルを通り越しているような・・・。
やりすぎというより、やっちまったなという感じですね。
確かに構成上、この手の物語には主人公補正は必要でしょう。
しかし、あそこまでやらないといけなくなるのはちょっとどうかな。
補正前の主人公があの状態だけに、読者としてはなぜ?となります。
また、その補正の発動条件がちょっと安易すぎたなと思いました。
最後の最後でその補正を正当化するようなキーワードらしきなものが出てきますが、正当化しきれてませんw
補正前と補正後のバランスが悪すぎましたね。


大筋流れとしてはそこまでひどくないだけに、この構成がちょっといただけなかったかな。
今後もこの補正された主人公を続けると、物語のバランスが今後危うい方向になりそうですが、今後はどうするのでしょうか?


生徒会ばっかりの物語構成は悪くないので、まさに物語を面白くするように、主人公補正がつじつまが合うような、補正をした方がいいかなと思いました。


総合評価:★★