ソニータイマー説と工業製品の作り方?2

ソニータイマー説の記事が出てるが、何とも残念な内容にがっくり

前にこんなこと書いたが、その中で『工業製品は壊れるのを前提で作る』ということを書きました。
この前は時間がなかったので、これの続きを書いてみたいと思います。


・工業製品に存在する独特の価値観
よく絵画や書物に芸術的価値が出て高額になったり、家具などの古いものはアンティークになったりします。
ですが、よく考えてみましょう。


工業製品にこういったものは存在するでしょうか?


その数は圧倒的に少ないと思います。
これはプロや素人、関係なくお分かりだと思いますが、圧倒的に少ない現実は理解していると思います。
あるとすれば自動車とかが限界でしょう。
その自動車もそれほど多くはありません。


なぜこんなことになっているのでしょうか?
それは簡単な話で工業製品と芸術作品系統には決定的に違うところがあります。
それは『機能』です。
工業製品の価値はそのデザインや歴史的価値によらず、その機能性に価値が生まれるのです。
したがってその機能性が全く持って使えなければ、工業製品は骨董品にさえなれないただのがらくたです。


ここが書物、絵画、家具などと違った面であり、工業製品が工業製品であるが故の価値観が相対的に骨董品とかと違うのです。
先に書いた自動車、いわゆるクラシックカーについてはどうでしょうか?
おそらく実際に走っているものが多いと思います。
そう車の価値はデザインや歴史的価値以上に、走ることが重要です。
どういうことかというと、ものすごい歴史的価値があり、世界的にも素晴らしいデザインの誰もが名車と認める"走らないクラシックカー"と、走行距離5万kmで、程度がまぁまぁの"走れる軽自動車"。
皆さんはどっちを選びます?
私だったら間違いなく後者をとります。
前者をとるのは、本当に車が好きな人かよほどの変人でしょう。
その前者をとるような人間が、この世界でどれだけいるのか?
絵画の愛好家や書物の愛好家などより多いのか?
これで、世の中の相場が決まります。
間違いなく、車にこうした骨董的な価値を求める人間は少数派でしょう。


ですので、極端に書くと走らない車に価値は無しといっても過言ではありません。


さて前置きが長くなりましたが、私が言いたいのは『工業製品はその機能があってこその価値あるもの』と言いたいのです。
件のソニータイマーで知られるwwソニーですが、皆さんご存じビデオデッキ、テレビ、ゲーム機などの工業製品を作る会社です。
ですので、当然その製品には製品特有の機能というものが付いています。
では私たち消費者は何を基準に製品を買いますか?
HDDレコーダー一つ買うにも、メーカー、デザインで選ぶともあるでしょうが、最終的な判断は、その商品の持つ機能によるところが大きくないでしょうか?
すでにこの時点で無意識に機能を重視しているのですよ。


・機能というものは、ただあればいいというものじゃない
機能というのはただついていればいいというものではありません。
CMカットが自動で行える機能とか便利なものがありますが、中には使えない機能もあります。
それに付随して、使い勝手というものがあります。
ほしい機能が備わって入るんだけどあまりにも使い勝手が悪いというのは、経験したことがある人は多いと思います。


その機種がデザインで優れていても、これのせいで商品への価値観が下がったことはありませんか?
これも機能面における工業製品の価値というものへの影響する項目です。


そして無視できないのが時間相対的評価です。

100年以上も前に書かれた有名画家の絵画が、虫食いなどを直されて今もなお価値あるものとしてあがめられる一方で、工業製品にそんなものはほとんどありません。
これが時間的な商品への価値による違いで、工業製品と芸術的価値のあるものとの決定的な違いです。
たとえば、昔とっても普及したCカセットテープというものがありました。
カセットテープにはA面B面があります。
昔はカセットテープを取り出して、表裏を入れ替えてカセットテープレコーダーに入れてました。
これを取り出すことなく、ヘッドを回転させることによってカセットを入れ替える手間を省いたレコーダが登場し、一世を風靡したことがあります。
これは画期的な機能でした。
さて、この機能、今現在ではどうでしょう?
簡単なことで、カセットテープの需要がほとんどなくなった現在、この機能そのものが古くてどうでもいいものです。
また、最初に登場した時は画期的でも、他のメーカーも導入するようになって『当たり前』になってしまうと、その機能を搭載していない方が悪い扱いを受けるようになります。
ここが時間的に評価が変わる工業製品の機能における痛いところです。


ですから、今現在名機とか言われるBlu-RAYレコーダーがあっても、10年後には何の価値もないなんてことは、工業製品では当たり前ということはあり得るのです。


ここが、工業製品の宿命というか、芸術的価値の出やすい製品との決定的な違いです。


さて、ここまで書いておいて、ソニータイマーと工業製品のと関係性に全く触れてませんが、時間が無くなってきたので今回はここまで。
また、いずれ続きを書きます。