TOYOTAのリコール問題に、日本企業の限界が見える、悲鳴が聞こえる 1

最近、TOYOTAが大変なことになっている。
あいつぐリコール問題で、流石のTOYOTAもどうなるかは分からない。
これについては


TOYOTAなにやってんの(ブライト・ノア風に)


と突っ込んでおく。
実は私もTOYOTA車に乗っているので、そのあたりのケジメはきちんと対応はしてほしい。
だが、自分の乗る車に関しては至って心配はしていない。
以前にも書いたけど、自動車関連の仕事をしているので、こういったことにはなれているし、多少なりとも事情は知ってます。
自分の車種がリコールの対象にならない限り、日ごろのメンテをやっていれば、あとは寿命による部品劣化を気にするのと事故くらいかな。
日本の自動車と言うのは得てしてそういう風に作られています。


で、そのTOYOTAのリコール問題ですが、TOYOTAがここまで追い詰められているのは相手がアメリカだからと言うことがまず上げられます。
なにぶん天下のGMが先日あのような結末を迎えた国家で、なおかつ訴訟大国と言われるほど、訴訟が多い国です。
その後に起こったTOYOTAの失策。
『それいまだ』と言わんばかりに、これでもかというくらいに出してくるでしょう。
しばらくこれは続くと思います。


しかし、私が一番心配しているのは今回のTOYOTAのリコール問題が、日本と言う国の限界を露呈したのではないかと思っていることです。
ちょっと大げさですが、いかに私が感じた見解です。

いつも読んでいる人は分かっているとは思いますが、あくまで個人的な妄想と曲解とで書いている部分があります。
読む読まないは各人の自由でかまいません。


ということで、ここらら本題
この問題は何もTOYOTAだけの問題ではないと考えています。
まず前提ですが、技術的に問題が発生しないことも出来たであろう事例だったかなと思っています。
最近勃発した電子制御の関連のリコールになりそうなやつは、新技術ですのでこれはムリとしても。
さて、ではなぜリコールが起こったのか?
この状態に今の日本企業の限界を感じたと同時に、リコールと言う表面化した問題が悲鳴に聞こえたということです。
そして、これは何もTOYOTAだけではなくほかの自動車メーカー、さらには日本国中のあらゆる製造業が当てはまることだと思います。


さて、その自動車ですが最近は販売サイクルが短いんですよね。
そのサイクルに間に合うように設計・開発・生産と相成るわけですが、そのサイクルに見合った状況が整っていないことが多いのです。
まず前提として自動車も人間が作るものです。
それ故に完璧はありえません。
どんなものにも欠点はあるわけで、それをなくすことは物理的に不可能。
どちらかと言うとその欠点を少なく、且つ重大事故につながらない程度に抑えることが企業としての使命です。
そうやって完璧に作ることは出来ないが、完璧に、そして理想へと近づけていくのが日本だけでなく人間が作る製造と言うもので、それによって作られる製品と言うものです。


・全てはないないからはじまる
まず製造業にも基本があります。
いわゆる4Mと呼ばれるものです。
4Mとは

Man
Machine
Material
Method

この4つのことです。
製品は、この4つが充実して初めて完璧に近い商品が出来ます。
MAN⇒人。
要するに人手ですね。
単純に製造ラインに関わる人間の数などもそうなんですが、この場合は人材と言う意味合いでの人手です。
その人材が圧倒的気に不足しています。
要するに設計や、開発で必要なスキルや経験を有している人材ですね。
人件費の高騰で優秀な人材を辞めさせたり、新規に採用人数を減らしたりして、今の日本の企業はバブル崩壊前とは比較にならないくらい、少人数で多角経営をするようになってます。
バブル崩壊後から徐々に日本の企業はこの傾向が強くなったと思われます。
バブル崩壊後、日本の企業は正社員減らしを行いました。
そのとき多数の人材を放出しましたが、その代わりに台頭してきたのが人材派遣です。
そして最近まで人材派遣は良くがんばりました。
ところが、ここ数年の不況で今度は首を切りやすい人材派遣をきり始めました。
元々、バブル崩壊後に何かあったらすぐ身軽になれるように契約したのが人材派遣だったのです。
それをバブル崩壊で学んだのが日本企業でした。
そしてここ最近本当にそういう状況が訪れてしまったと言うことです。
しかし、ひとつ大きな見落としをしてます。
人材派遣が持っていた能力や経験も一緒にきったのです。
そのため、残された人たちでバブル最盛期並みの仕事回しをしないといけません。
当然誰もに大量の負荷がかかりますね。
そうなれば人間ですから疲れがたまります。
すると人間ですから集中力がなくなり、うっかり見落としたり、最悪の場合は見て見ぬフリもするんですよ。
そうでもしないと、仕事量が多すぎて捌ききれないのです。
やることがたくさんあるから、ある程度の結果が出たら妥協を始めてしまうんですよね。
そうなったら、もうお終いです。
その妥協のうちのいくつかが、製品として世に出たときに命取りになることがあるのです。


皆さんも思い当たることはありませんか?
日本企業は大なり小なり、こんな様な状況に近くありませんかね。
今の日本企業の人手に関して、これ以上の縮小はその企業の命取りになるところまで来ていると思います。
これが今の人手に関する日本企業の厳戒と悲鳴でしょう。


Machine⇒機械
最近の製品は工業製品も食品でも、果ては第1次産業でもどこかに機械任せがあります。
今の日本国内で産業と名の付くもので、機械が絡まない職種は皆無ではないでしょうか?
そんあ機械任せの状況において、必ず発生することがあります。
それが、機械性能の維持メンテナンスです。
製造ラインにおいて機械によるラインの性能維持はとても重要です。
自動車部品は重要保安部品ではμm以下、通常部品でもμm単位で作られています。
それらを、毎日作るラインはその生産能力を維持し続けないと、ある日突然狂った部品を作り出してしまいます。
なので、この性能を維持管理することが重要になります。
それを行うのは人間です。
それが昨今の人材不足で過負荷がかかっています。
一人2〜3台の機械の管理が4台、5台、6台・・・と最近だんだん増えています。
となれば、やはりうっかりも出るわけで、知らずに不良部品を流してしまい、さらには後工程でも見逃して、最悪は市場に出てから気づくと言うことになります。


そしてメンテナンスですが、これは機械の管理人が過負荷で時間が避けないこともさることながら、高効率化による影響も出ています。
ひとつのラインで1種類の部品だったものが、今では構成のちょっとしたチェンジで数種類の部品が同じラインで作れるようになっていることがあります。
となるとある日はアノ部品だけど、次の日は違う部品と言うこともあります。
部品は毎日作ることはないのに、ラインは毎日稼動と言うことは普通にあるわけですし、製造ラインが一番嫌うのはじつは停止なんです。
一度停止させても動かせば物が作れると言うことはないのです。
必ず稼動したら、最初は先に維持管理に基づきちゃんと物を作っているかチェックしないといけません。
これが意外と時間がかかります。
ですからラインは24時間動かしてでも、ずっと稼動していることが多いのです。
メンテナンスはそんな状態のラインを一時的にSTOPさせて行います。
そのため、最近のメンテナンスは短期間で早く行うような状態になってます。
しかも人手が要りますし、専門的な部分は外部委託の必要があります。
当然費用が発生するので、コスト面からメンテナンスを必要最低限で抑えるところが多くなってます。
本来十分な時間と余裕を持って行わなければいけない、メンテナンスと維持管理がおろそかになりつつあります。


これが今の機械に関する日本企業の限界と悲鳴でしょう。


Material⇒材料
物を作るには材料が必要です。
自動車と言えばまず鉄ですが、他にもアルミ、樹脂、ゴム、ガラス・・・。
結構な種類の材料が使われます。
当然高い原材料ほど、完成した製品の価格に上乗せされます。
今の日本の工業製品は値段を抑えるのに一生懸命です。
そんな状況ですから材料も価格が安いものを優先的に選びます。
しかし、そこに落とし穴があります。
安いにはそれなりに理由があるものです。
大抵、安い材料はそのほとんどが海外製です。
主として中国、マレーシア、タイ、メキシコなどが多いですね。
海外製が安いのはその人件費が主な理由です。
しかし、これは後述しますがその質に問題がある場合が多いです。
ところが、一時期その値段だけに着目し、質を省みずに導入したことがありました。
一部でその材料を使用した部品から問題が見つかッたこともあるようです。
最近は質も重視してますが、現在の日本の企業では、ほとんどの材料を海外製で賄わないと完成した製品が勝負できる価格で作れない状況になってます。
国産はやはりいいものが多いですが、その値段は遥に違います。
また、肝心の材料供給メーカーも国産では売れないことを理解しているので、ほとんどが国内生産をやめて海外で生産しているところがほとんどです。
しかし、これも後述しますが、そこには実は結構な差が・・・・・・


これが今の材料に関する日本企業の限界と悲鳴でしょう。


Method⇒方法
これは今までの3つのMと違い、ちょっと抽象的になります。
たとえば、物を作るラインの工程の設定方法から、商品企画立ち上げ⇒設計⇒開発⇒製造⇒販売といった大きな流れまで方法といっても多種多様。
先に書きましたが、今の日本企業は短期間、低コスト、少人数がメインです。
これがそのままこういったつくりの流れにモロ乗っかります。
高度成長期からバブル崩壊前まで、まだ余裕があった企業は設計で複数のチームをいっぺんに立ち上げ、そのすべてを受け持つ次工程の開発チームに引き渡します。
そして、その複数の中からやばいものはどんどんなくして、いいものだけを最終製造ラインにもっていきました。
やばいものを作ったチームは解散し、また別のチームに配属転換などをさせたりしてましたが、これがバブル崩壊後から崩れました。
複数のチームで構成は変わらなかったのですが、そこに人材派遣の入り込む割合が増えたのです。
同じチームでもリーダーは正社員で、部下全員が人材派遣なんてのも珍しくない構造でした。

ですが、人材派遣はどんなに優秀でも外様なんですよね。
この外様という響き、結構影響するんですよ。
やはり外様である以上、いつ派遣会社本社から戻れという命令が来たり、自分の会社がいつ人材派遣と契約をやめるかわからない状況下で一緒に仕事をしないといけません。
となるとどういうことになるか?
まず、仕事上重要部分はいついなくなるか、分からない人に教えるわけにはいきません。
それと、時間管理に問題があります。
給料を払う管理が人材派遣は人材派遣会社です。
当然派遣した社員が何時間働いいたか記録を提出させてますので、残業や休出させたらその分きちんと払わないといけません。
これは当然のことですが、この概念が日本国内の企業で通用しなくなってきたのが、ちょうどこのあたりの時期だと思います。
特に設計や開発、営業などは結果をだしてなんぼのものです。
ここはある意味作家と似てますねww
ノルマが達成できなかったら、サービス残業、サービス休出、こんなのが当たり前になってしまった状況ができてしまったのです。
しかし先述のとおり人材派遣は時間労働が主なので、時間通りに帰社し休みます。
その時間内で終わらなかった仕事は、正社員のサービスで賄われることになるのです。
もちろんその正社員自身の仕事もこなしてです。

それでも、まだ上手にやっていたんですがね、ここ最近の派遣切りがこの状況をさらに悪化させました。
先に書いた人材そのものを失うだけでなく、人手も失い残された正社員は大変な状況です。
当然効率化のため、複数で構成していたチームも、下手すれば1チームになり同じサイクルで製品開発になります。
なにか失敗したら、今までやってきたのと同じ時間がかかります。
ここで時間的破状が生まれるわけです。

あとは妥協してでも時間を守るか、時間度外視でいい製品を作るか2者択一しかありません。
こうして世に製品は出回ってしまうということです。


ここまでは人に関するMethodの問題でしたが、機械や材料的なMethodでも結構な問題が出ています。


いろいろあるのですが、かなり長くなりましたので、続きはまた2週間後にでも(なぜ2週間?ww)