ライトノベル?『地球の切り札1 彼女は最終兵器になりました』

いたい!痛すぎる・・・。
それは自分の過去の物語を、ただ、自己満足のように語っていたアノ頃を思い出していったこと。
しかし、今思うとそのことがまさかこんな形になって、役立つ日が来ることになるとは。
彼女があんなことになって、思わず引き受けてしまったこの役柄。
これでいいのか、悪いのか・・・ときかれれば、俺こと健吾はこう答えるだろう
『どんとこ〜〜い』
し、しまった・・・言わなきゃ良かった。

最終兵器になってしまった彼女と、そんな彼女を支える俺の中二病全開の物語、ここにはじまりました。

『わははは、こいつ馬鹿だ!』
『うわぁ、痛い痛い!』
とりあえず、あとがきを読んだら、どうもこれがお約束のようだったのでww


一言で言うと、確かにそんな感じの内容の作品。
著者の鷹見一幸といえば、ラノベ業界でも異色の作家であり、私的には『大先生』と呼んでおります。
そんな鷹見大先生の新シリーズ。


ちなみに大先生は40歳デビューでもう10年以上のキャリアをつんでいるので、少なくとも御歳50歳は超えているはずです。
その内容はとても歳相応に見えないトンデモ設定。
著者自身のブログに書いてありましたが、設定は80年代アニメ風とか。
いや、いまどきのラノベ読者80年代テイスト知りませんからww
ただし、私はもちろん知ってますので、あえて書くと確かにノリと設定は80年代を意識したいるかといわれれば、そんな気がしないでもない。
そして、ここでも出てくる、鷹見大先生独特の設定持込展開な作品つくりは健在。
他の作品と違って、物語に段階があるんですが、この作家さんの作品は必ず『理屈』があって、それに関する『展開』がなされて、そしてその『結果』がこうなったと言う理屈で進む作風ですかね。
ということで、いかんともしがたいのはその作風が故に、シリーズの序盤は必ず説明的文章が随所に見られるので、ここはいまどきのラノベになれた読者からすると、ひどい退屈感を味わうかもしれない。
しかし、それを乗り越えたときのクライマックスはある意味爽快・・・なのか?


ただ、ラノベでありがちなキャラのこだわりがまだ小さいかなと思います。
全開の『会長の切り札』でも同じでしたが、シリーズ開始における主人公含めた主要人物の掘り下げがうすいんですよね。
そこは今回もあったかなと思います。
特に、あのへっぽこ3人組*1は最後どうなったんだろう・・・。


まぁ、大先生の作品のキャラ掘り下げが少ないのは今に始まった事ではないので気にはしませんが。
個人的には理にかなった展開を無理やりではなくスマートに進めるこの方式は好きです。
ラノベに向いているかどうかは別としてww


総合評価:★★★


ところで、今回も舞台は楢山町でしたが、『会長の切り札』と違っていると推測します。
大先生が鉄道マニアである事はご自身が明かしていますが、それにおわせる部分が随所に見られました。
普通の人は分からないかもしれませんが、今回の舞台となった鉄道線は明らかにこれがモデルと思います。

上田電鉄別所線

上田電鉄別所線⇒楢山交通上所線

路線名は似てますが、鉄道会社名はちょっと違います。
しかし、上田電鉄上田市を中心とする上田交通鉄道路線部門で、2005年に分社して子会社の上田電鉄となってます。
子会社になる前は『上田交通別所線』と名乗ってました。
作中に下郷、上塩田などの地名が出てきますが、上田電鉄には『下之郷』『上塩田』という駅もあります。


大先生はきっと2005年より前の上田交通時代をイメージしているのでしょう。
当時は東急*2譲渡車両7200系でしたが、現在は元東急の1000系が2両編成でコトコト走っています。

*1:どう考えてもタイムボ●ンシリーズの悪役トリオだな

*2:上田交通は東急の子会社である