咲-Saki-第12話『目醒め』に出てきた麻雀用語の解説

咲-Saki-第12話『目醒め』に出てきた麻雀用語、および第12話であった麻雀独特の現象の解説です。


番組開始10分42秒

竹井久『後半戦になってみんなゲンブツで降りてくるようになったか。デアガリしにくくなったな。』

ゲンブツ
前にも解説しましたが、フリテンのため絶対に当たらない安全牌のことを現物(現物)といいます。
このセリフを言った時点では、久はリーチしてませんでしたが、おそらく久がリーチする度にみんな現物を切るようになったのでしょう。
ですので、この場合の現物は久自身が捨てた牌と、久がリーチした後に捨てられた牌全てということになります。

デアガリ
いわゆる、人が捨てた牌であがること。
現物捨ててくるんだから当然でしょうね。
出た牌であがりにくくなったということですから・・・。


番組開始11分12秒〜12分00秒

国広一『リャンカンの方が残った。このままだとモロヒッカケになっちゃうけど』

リャンカン
これも前に解説しました。
このときの国広一の手牌は以下のとおり
  (ツモ)
この場合のリャンカンといわれる部分は

になります。
この部分がくれば順子ができるのですが、このように間が抜けている状態の順子待ちを『嵌張待ち(カンチャン)』と呼びますが、『リャンカン』とは両方にカンチャンがあるという意味です。
したがって『両嵌』と書きます。
つまりはを中心に両側が嵌張になってしまっているのです。
今回国広がツモって来たのはでした。
これでを捨てればテンパイになります。
でも、本音としてはが来てテンパイにしたかったところでしょう。
もっと、欲を言えば三色が絡むが一番ほしかった牌のはずです。
そうすればの多面張になり、親である国広が一気に有利に進められるのですが、やっぱり上手くいかないものですね。
それで、『リャンカンの方が残っちゃったか・・・』となったわけです。


モロヒッカケ
これは麻雀用語というわけではありませんが、麻雀と関係する現象です。
あとで解説しますが、国広は上記手牌でを捨ててリーチを宣言します。
リーチということは当然テンパイなわけですから、他の人は何が通るのか、当たるのか当然警戒します。
それをどうやって判断するかは国広が捨てた牌からまず想像するのです。
ですので、見た瞬間『この人はこれを待っているな』という捨て方ではあがりにくくなります。
実際にを捨てた時点で、実は引っ掛けになっているのですが、なぜ引っ掛けになっているのかは後ほど。


番組開始11分55秒

実況『カラテンリーチだ。悪待ちにもほどがあるぞ』

カラテンリーチ
自分がテンパイ状態にある場合、自分から分かる視点で既にアガリ牌がなくなっていることが分かっている状態のこと。
さらに、それを承知の上でリーチしたのが『カラテンリーチ』となる。
自分の待ち牌が存在するかどうかは、主に下記の見える牌からわかる。
1)人が捨てた牌
2)ドラ表示牌
3)他家が副露した牌(つまりは他の人がポン、チーして晒している牌)
4)自分の手牌
これらから、自分のアガリ牌が何枚あるか想像することで、カラテンかどうかはわかる。
ひとつ気をつけることは『カラテンリーチはチョンボというルールがある。
このアニメ『咲-Saki-』ではそのようなルールが存在しないようだが、実際には『カラテンリーチ』を流局時発覚チョンボとするルールもあるらしい。
よって、その確認はゲーム開始前に行ったほうがいいでしょう。
ちなみに私の身近なローカルルールではチョンボにはしていません。

今回の竹井久のカラテンリーチだが、リーチ前の手牌はこのような状態

  (ツモ)
ここで普通の人ならを迷わずきるだろう。
それはなぜかというと、鶴賀の部長が教えてくれますので、ここでは割愛。
しかし、久の感覚ではこのが非常にヤナ感じだったのだ。
そこで、久はわざとを捨ててリーチ。
すると

となって単騎待ちとなる。
しかし、

すでにが場に3枚捨てられていることは誰でもわかることであるので、カラテン状態だったのだ。
でも、これはあがるためのリーチではなく、みんなを降ろすことを前提としたリーチである。
リーチというのは『あと一枚で上がれる』というのを宣言する役だが、逆に考えると『あと一枚で上がれるから、気をつけろよ』という意味でもあるのだ。
となると相手に無駄に警戒心を起こすことも可能である。
あえて、安手でリーチしたりて、如何にもすごい高いぞと匂わせておけば、相手が勝負をしてこなくすることも出きるわけです。
そしてその結果


鶴賀の部長がを引いてくるも、が竹井久にはとっても危険と感じて怖くなり、を捨ててベタオリします。
しかし鶴賀の部長は、このが国広一には通りそうだといってます。
それはこの場の捨て牌状況から。

国広一はを捨ててます。
つまりの両面待ちはない。
また、の両面待ちの場合はが上がりとなるが、を捨てているのでこれもない。
だから、非常に安全に通る確率が高いと考えている。
もし、久がリーチをしていなかったら、国広だけのアガリ牌を考慮すればいいわけですから、を捨てた可能性もあるわけです。
案の定、鶴賀の部長は降りました。
おそらくは文堂も降りているでしょう。
この時点で、竹井久の策略は成功したわけです。
なお、上記理由から国広が『モロヒッカケ』といっていたのはこういう状況だからです。
を捨てていれば、スジからも大丈夫と考えるのは麻雀ではごく普通の考え方です。
まさかの嵌張待ちでを待っているとまでは、頭が回らない可能性は高いです。
ですから、今回の待ちを逆手に取った国弘のモロヒッカケとなります。