『居眠り磐音 江戸双紙 螢火ノ宿』

螢火ノ宿 ─ 居眠り磐音江戸双紙 16 (双葉文庫)

螢火ノ宿 ─ 居眠り磐音江戸双紙 16 (双葉文庫)

白鶴太夫が山形の紅花商人・前田屋内蔵助に落籍されるという噂がたっていた。白鶴太夫を殺してでも落籍話を阻止しようとする者がいると告げられた坂崎磐音は、吉原会所の四郎兵衛を訪ね、事の真相を確かめようとする。そんな中、白鶴太夫の禿・お小夜、見世番の繁三郎が何者かに殺される事件が起きた。白鶴太夫の身を案じる磐音は、会所の若い衆に姿を変え吉原を奔走する。

白鶴太夫こと奈緒に落籍の話がでるが、それをねたむ連中が現れ妨害工作をするようになった。
それに立ち向かう坂崎磐音の大立ち回り。


好きながらも諸所の事情から、奈緒の前に姿を出せず、奈緒も磐音のことをずっと想っていたが家のために遊女になり、今では推しも推されぬ太夫とまで格を上げたことにより、もう二度と磐音に会えなくなることを悟った。
お互い生きてさえいればそれで良しと悟った磐音。
静かに見守っていたが、回りはそれを良しとせず、今回もひと騒動起こる。


ただ惚れていた一人の女性のために、ひたすら走りがむしゃらに剣を振る磐音のひたむきさは、これまでにない磐音の想いがこめられている。
それでも会えない二人だから運命というものの強さとはかなさを思い知ることになる。


最後に解決し、白鶴太夫が嫁に行くために旅立つ瞬間に、運命のいたずらか二人は最後となる顔合わせ。
互いの幸せを願って、無事山形へと想い人を送り出す磐音の心中は色々な想いが交錯すると同時に、新しい道への自分自身の旅立ちでもあった。
これで、磐音はひとつの区切りをつけて今後どういう道を行くのか、これから見物です。
評価:★★★★