伏見つかさ、鎌池和馬、五十嵐雄策・・・有名であるがゆえに起こるマイナス面

今月、電撃が誇る人気作品を手がける3人の作家さんが、揃って新シリーズ(になるかもしれない)作品を、既存の作品が終わる前から刊行している。
いわゆる平行シリーズ展開(でいいのか?)

今回、新シリーズをだしたのは伏見つかさ鎌池和馬五十嵐雄策の3人の作家先生方。
もう書くまでもなく、電撃でどんなシリーズを刊行しているかはご承知の通り。
この3人の既存作品はいずれも電撃の看板作品であり、毎回初動売り上げは凄いことになる。
その3人が同じ文庫レーベルで違う作品を出すのだから、その注目度は高いものだろう。
実際に売り上げは初動で3人とも10000部を超えた。


この注目の高さから、この初動を稼いだともいえなくもない。
この点は3人が人気作品を書いているという故のプラス面だろう。


しかし、逆にこの3人の3作品において、有名だからマイナス面もあるのは事実。
今回はそこを検証しようかと思う。
ただし個人的にマイナスと思ったところねw


鎌池和馬『ヘヴィー・オブジェクト』

ヘヴィーオブジェクト (電撃文庫)

ヘヴィーオブジェクト (電撃文庫)

ご存知『とある魔術の禁書目録』の鎌池和馬先生が送る新シリーズ。
公式HPの紹介を読む限り、禁書目録とは違ったハードな戦争物?
なにやら巨大な兵器も出てくる?
禁書目録とは違った違う鎌池和馬を思わせる内容だ。
鎌池和馬先生が書くだけに、壮大な物語のイメージが


鎌池和馬であるが故の(至って私の個人的な)マイナス面
最初に言っておく『私はまだこの本を購入していないw』
まぁ、いきなりの爆弾発言ですがww
今回のマイナス面は、最終的にここにいくつくまでの課程においての事例。
それが
鎌池和馬だったために、鎌池和馬じゃなかったら・・・』
などと思うことだけに残念。
第1のパターン

有名作家において、既存作品が面白くなかった場合、他の作品もまとめて敬遠する。

今回はこれが働いてしまった。
まず決して禁書目録が面白くないと書いているわけではない。
私も禁書目録は3巻まで読んだが、どうしても合わなかったのだ。
どんなに凄い売れている作品でも、少なからず1人は合わない人がいるはず。
100人いれば100人の感性があるわけで、禁書目録を面白いと思った人が90人いたとしたら、わたしはそれ以外の10人に入る部類。
100人いて100人面白いと思わせる作品はまず存在しない。
今月の電撃文庫は何を読もうかリストアップした際に下記の作品を購入する予定だった。
ちなみに並び順番は私個人での優先順位

ロウきゅーぶ!
小春原日和の育成日記


葉桜が来た夏


ねこシス
へヴィーオブジェクト
りんぐ&りんく!
少年テングサのしょっぱい呪文
ほうかご百物語
MIB2

都合9冊。
ちなみに上位2冊はもう何があっても購入予定w
まぁ、順調に行けば予定通り購入だったのだが、電撃文庫は近所で10/8。
しかしここで予想外の出費がでた。
10/9発売のこれを買ってしまった。




あ、あだるてぃ〜〜なので18歳未満の人はリンク先に飛ばないように。
というよりこの手の商品紹介ははてなダイアリーでOKだったけ?
(NGであることが分かりましたので、リンクは削除してます。当該部分はただのJPGの絵です)


まぁ、とにかくこれで9冊購入予定を、4冊に減らさないといけなくなってしまった。
それで、5冊まで絞ったのだがその5冊はこれ

ロウきゅーぶ!
小春原日和の育成日記
ねこシス
へヴィーオブジェクト
りんぐ&りんく!

なぜか葉桜を削ってしまったがw、この中で最後の1冊を削るとしたらどうするか。
この考えのまま、書店の電撃の新刊平積みコーナーの前で30分も悩んでいたw*1
それで最終的にこうなった

ロウきゅーぶ!
小春原日和の育成日記
ねこシス
りんぐ&りんく!

この4冊をレジに持っていったのだ。
ここで決め手となったのが最初の項目。
禁書目録が合わなかったため、鎌池和馬という作家野作品を敬遠してしまったのである。
そして、『りんぐ&りんく!』の著者『水沢あきと』というのは、逆に私の記憶にない作家名であった。
こうなると『聞いたことのない作家さんの新しい作品に手を出すか』と思ってしまったわけである。
結果はどうであれ、ここで鎌池和馬だからというマイナス面が働いてしまった。
まぁ、直の原因は例のDVDなんですけどねww


そう、今思えば

鎌池和馬の作風が私と合わないのではなく、鎌池和馬禁書目録が合わないだけ。
新作が決して合わないとは限らない

ということを忘れていたた故のマイナス要素だったと考えます。


鎌池先生すみませんm_O_m
いつか読んでみたいと思います。


五十嵐雄策小春原日和の育成日記

小春原日和の育成日記 (電撃文庫)

小春原日和の育成日記 (電撃文庫)

ご存知『乃木坂春香の秘密』の五十嵐雄策先生が送る新シリーズ。
公式HPの紹介を読む限り、萌え系統のちょっと変わったお嬢様育成日誌?
絵師が西又葵師というのもポイント。
この作品は鎌池和馬先生の時と全く正反対の状況で、私が乃木坂春香が大好きなので、同じ著者というだけで即購入決定wでした。
・・・なんていうかダメダメな大人ですよね。


五十嵐雄策であるが故の(至って私の個人的な)マイナス面
実際読んでみたのだが、五十嵐雄策らしいとっぴな比喩表現と萌えを意識した作品作りは見事。
しかし、読んでいくと・・・・・・・奇妙な違和感を感じた。
第2のパターン

有名作家だけに、読む前からの期待度と読んだときのギャップに悩む。

先に書いた『違和感』それは、登場人物の設定。
主人公と周りの生活力なしのダメ大人。
なんか乃木坂春香と重なるんですよ。
主人公補正とかが一緒に見えてしまう。
しかし、一度この感覚を味わうともうだめで、この『小春原日和の育成日記』と『乃木坂春香の秘密』は同じに見えてしまうのだ。
この作品については私だけかどうかは分からないが、今まで色々な作品と接してきた人ならば、既存の作品と新作が似ているとい感覚を受けたことがある人は結構いるのではないだろうか?


この『小春原日和の育成日記』については、そりゃ同じ作者だし、乃木坂と重なるのも分かりますよ。
乃木坂が好きで買った私が文句言うのもアレですが、どういうわけか読んでから奇妙な感覚になってしまったのである。


じゃあ、一体私は五十嵐雄策に何を求めていたのか?
読むまで全く持って気にしてなかったのだが、私はこの作家に何を求めていたのか?
果たしてそれは乃木坂春香の秘密と同系統の設定の違う作品だったのか?
今思うと、それは違っていたと思う。
たぶん私は

乃木坂春香で培った実力を活かし、別展開と設定と世界観で描いた、新たな五十嵐雄策を読みたかった

のかもしれない。


この『小春原日和の育成日記』が悪い作品かと言うと、そういうことはない。
内容も文章も一定レベル以上を維持しているし、構成も見事ではある。
五十嵐雄策以外の人だったら、結構評価が高いことになったかもしれないが、五十嵐雄策ゆえにどうしても乃木坂春香が重なってしまうのであって、決して作品が悪いわけではない。


個人的には同じ電撃文庫で『お留守バンシー』を書いていた小河正岳先生が、中世異形ファンタジー物からいきなりスペースオペラ的な『ウェスタディアの双星』に変わったくらいの勢いを求めていたのかもしれない。
小河先生にはそういう意味では、ものすごく意外な方向性で裏切られたと思う。
お留守バンシーも良かったのだが『まさかの次のシリーズがスペースオペラとは』という、刊行当時はドギモを抜かれたことを覚えている。
ウェスタディアは今では電撃でも売れ線になっているし、刊行以来私も楽しませてもらっている。
他には三浦勇雄先生が、学園物の『上等シリーズ』から、『聖剣の刀鍛冶』という王道ファンタジーに変わったのもある。
今挙げたのは一例だが、もしかしたらこんなことを実は心の奥底で期待していたのかも。
今思えば、私は五十嵐流のなにか新しい世界を読みたかったのだろうと思う。
そういう感覚としては、今回の作品は残念に思うところもある。
これが、今回の『小春原日和の育成日記』を読んでの五十嵐雄策先生のマイナス面だったかな・・・。


ということで

ラノベ読者ってかなりわがままですねw

・・・いや私だけか?
こんなわがまま読者に付き合う出版社と作家って大変なんだろうなぁ・・・。



伏見つかさ『ねこシス』

ねこシス (電撃文庫)

ねこシス (電撃文庫)

ご存知『十三番目のアリス』の伏見つかさ先生が送る新シリーズ?w。
公式HPの紹介を読む限り、猫から人間になった猫又が、人間の世界を猫視点で描くほのぼのストーリー
絵師と作家が例の作品と同じコンビです。


伏見つかさであるが故の(至って私の個人的な)マイナス面
この作品、すごく良かったです。
猫からみる人間世界の視点は、人間である我々が読んでも結構斬新でした。(とはいっても現実の猫は本は読まないがw)
私自身猫好きなのですが、時折入る猫の習性などの説明は、ヘタな動物解説書よりも親しみがもてます。
だけど・・・。
第3のパターン

有名作家だけに、同じ著者の他のシリーズ作品との比較をやってしまう。

正直に書くと、『ねこシス』とても面白かったです。
だが、それ以上に『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の方が面白いです。
なんていうか、私にとってアノ作品は別格なんです。
非オタクのお兄さん視点で進む構成が見事なんです。
あとがき読むと、この『ねこシス』はこの作品の元となった作品らしいです。
言われてみると『なるほど』と思いましたね。
『どこが?』というのはいずれ別に書きますが、そう考えればこの『ねこシス』があったから、『俺の妹』が生まれたのですね。
それは納得できます。
だから『ネコシス』より『俺の妹』の方が面白いのは当然なのかもしれない。


ただ、ねこシスも良い作品だけにもったいないw
伏見つかさ著作でなければ『俺の妹』とも比較されることはなかっただけに、非常に大きなマイナス要素かなと思ってしまった。


ということで

一度、人気作品を抱えると、それを超えるのって難しいですよね

ここは作家さんも出版社も結構悩むところかもしれません。



以上が、今回の有名作家3人の新シリーズに対する、私の個人的な考え方です。
基本買った2冊は、マイナス面がありながらも楽しく読めました。
決して悪い作品ではありませんので、まぁ私の戯言を気にせず読んでみたいと思ったら、お近くの書店へGOです。
あと作家先生方は、ここを見ることはないと思いますが、私の戯言など気にせず、今後も執筆活動がんばってください。
面白い作品にめぐり会える幸せを、今後も期待いたします。

*1:きっと書店員にはものすごい怪しい男と思われたに違いない