ライトノベル『俺の妹がこんなに可愛いわけがない5』

「じゃあね、兄貴」──別れの言葉を告げ、俺のもとから旅立った桐乃。
……別に寂しくなんかないけどな。 
新学期。平穏な高校生活を謳歌する俺のもとに、奇妙な後輩が現れる。
「おはようございます、先輩」 
俺は、黒猫の人間としての真名を知り、より深い“絆”を築いていくことになる。
“妹”と“親友”。
ともに大きなものを失った二人は、数多の思想が渦巻く校内で、“魔眼遣い”の少女と対峙する。 
“稀少能力(レア・アビリティ)”を持つ少女に、俺と黒猫は圧倒され、異空間へと誘われ……!! 
“日常”と“非日常”が交差するとき、物語は始まる──!!

公式の紹介、たしかに間違ってないんだけどねww


毎回、伏見つかさ先生はなにか変わった面白いことを仕掛けてきますが、今回も面白かった。
桐乃がいなくなって、前回あのラストで終わったので、今回は黒猫中心で進むことは予想通りだったが、新学期になり新たに登場した脇キャラも個性がものすごくて、しかも面白いキャラでした。
しかし、よくこんな設定のキャラクター思いつくなと・・・。
ネタバレになりますので、新キャラの三浦部長と瀬奈については詳細は省きますが、この2名の登場にはいくつか登場フラグみたいなものが立っていたのに、私は全く気がつかなかった。
それでいざ登場したときの余りのインパクトに充てられて、本筋の黒猫と京介の関係性が影を潜めてしまうかと思いきや、基本は黒猫とと京介のなんともいえない微妙で絶妙な人間関係で進むところが、構成としては面白かったです。
そして、最後の最後で京介が妹を迎えに行くところは、このシリーズ通してある意味一番の感動的なものなのかなと。
表向き桐乃は相変わらずですが、その尖ったものがだんだん丸くなっていってる様子は、読者でもうすうす感じています。


そして、なんと言ってもこの物語の根幹は京介自身の成長なのではないかと。
今回の黒猫とのふれあいで、黒猫も成長したが、それ以上に京介が大きく成長したのでは?
精神的に大人の男として成長していく京介の姿は、電撃文庫のメイン読者層である10代男性にはどう映るのか?
残念ながら、かなり遠い昔にその時期を通り過ぎた私には分からないが・・・
そうそう、精神的なもの以外にも、オタク的知識の方でも京介は成長してますねww


タイトルは『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』ですが、その妹が『俺の妹ってこんなに可愛いんだよ』となったとき、物語は終焉するのかもしれない。*1


今回もとても楽しく読めました。
特に黒猫さん、可愛かったよ。


総合評価:★★★★☆

*1:そして『俺の黒猫はこんなに可愛いのだよ』というタイトルで続くだろうww