最近文庫本売れてないのか?

今週のオリコン文庫本ランキングですが、30位の作品が6000部割れを起こしました。
どうも、ここ最近文庫本が全体的に振るっていないような気がします。
ということで、文庫本の売り上げを統括的に見て、まず現状はどんな状況か把握してみたいと思います。
最初に言っておきますが、これは公開された30位までの物をまとめたものですので、集計協力店以外に100万部とか売れている本があったりするかもしれませんww。
なので、あくまでも私個人の主観で書かれていることをご承知おきください。


今回用意したグラフのまず第1弾ですが

これは2010年に入ってからの、各週の上位30作品の総売り上げと平均値。
2010年最初の週は年末から年始にかけて2週間分の集計なので、必然的に総計も平均も上に位置します。
なので、その次の週からを見てみます。
こうして毎週ごとに並べると、意外にも平均、総計そこまで変化はないことが分かります。
なので、実際には思っているほど文庫本が売れていないわけではないということですね。
ここでいきなり崩れてしまいましたが、次にこのグラフを参照してください。

これは、ランキング1位と2位の作品の折れ線グラフと、1位と2位の売り上げの差を棒グラフで表したものです。
見てお分かりかと思いますが、2010年始まってからは1位と2位は僅差で推移してました。
しかし、4月から1位と2位の作品が開き始めました。
2位の作品はそれほど変わらないのですが、1位の作品が途端に売り上げがすごくなったのですね。
そして、5月あたりから2位の作品は下がり始め、1位と2位の作品の差が軒並み上昇しています。
次にこのグラフです。

これは、ランクに入る最低ラインの30位の作品の売り上げと、ランク中で10000部以下になった作品の順位を表しています。
2010年開始後3月くらいまでは、30位の作品は8000部台を何とか維持していました。
しかし、5月になってその部数が突然下降しました。
そして下降具合は止まらず、とうとう今週の6000部割れを起こしています。
順位の方ですが、ランクイン作品すべてが10000部超えの週から、3月までは20位ぐらいまでは10000部を維持していたのですが、こちらも5月に入ってから急激に落ち込んでいます。
5月以降15位から10000部割れを起こすことも珍しくなくなり、悪い時は8位の作品が10000部割れを起こすこともありました。
つまりはTOP10の作品でも10000部売れていないということですね。
5月以降は上位30作品のうち約半分の文庫本が10000部割れという事態を続けています。


最後のグラフですが、これは標本標準偏差σをとったものです。
ここでσについて説明しましすが、σはばらつきを表しています。
たとえば例として

例1)1、1、1、1、9、9、9、9

例2)5、5、5、5、5、5、5、5

このような2つの集団の数字が存在します。
この2つのそれぞれの平均と総計を計算します。

1+1+1+1+9+9+9+9=40(総計)
40÷8=5(平均)

5+5+5+5+5+5+5+5=40(総計)
40÷8=5(平均)

見てお分かりの通り、平均と総計は同じです。
しかし、これの標本標準偏差はこうなります

例1)σ=4.3
例2)σ=0

計算式は省略しますが、このσはサンプルの数字がどれだけばらついているかを見ているので、例2)のように全部同じ数字だとばらついていないので"0"になるのです。
ということで、このσが大きいほど、参照サンプル値の一番大きい数字と一番小さい数字の差が激しいということになります。

これがそのσのグラフ。
5月以降のσの値が大きいことが分かります。
つまりは5月以降はMAXとMINの差が大きい・・・すなわちランキング上位作品と下位作品の売り上げがすごい差があるということです。
その前に出した1位と2位の差も激しいことから、5月以降は1位だけ極端に多くて、それ以下が少ないということになります。
1位の作品のおかげで、平均値と総計がかろうじてさほど変化が無いように見えていたということですね。


来週は電撃文庫が集計期間に入りますが、はたしてどこまで文庫本の底上げができるか見ものです。
とはいえ、電撃文庫が絡んで文庫本全体がよくなったら、他の出版社は立場ないよね・・・。