スニーカー大賞作品『子ひつじは迷わない』

今年も登場、スニーカー大賞作品。
さて、今更説明するまでもないが、スニーカー大賞と言えば受賞作品が少ないことで有名な賞ですが、2年連続出たことに驚き。
ということで、スニーカー大賞に選ばれた当該作品を読みました。
今まで選ばれた作品群が作品群だけに、正直書きますと「スニーカー大賞?」という点が出なくもないが、しかしながら物語自体の面白さは昨年のシュガーダークより断然よかった。
もっと書くとハルヒよりも私には向いている作品かもしれない。


学園モノで短編連作ということはまぁいいのだが、まず全体通してテンポがいい。
短編連作なのに、すごくスラスラ読めてしまう。
しかし、実はその短編連作ながら全てが微妙なところでつながっているというところも大きい。
そして幕間の作りも秀逸で、前の物語と次の物語を上手につないでいる。
登場人物が多そうで*1実際にはそこまで多くないように思えてしまうのは、メインのキャラを読者に覚えさせて、しかもそのキャラが上手に物語内を動き回っているということかな。
なので、メインキャラを中心にうまい具合に進めているので、展開がわかり易く読みやすいことの一つのポイント。
そして物語自体が無駄なく無理なく強引でない状況で上手に締めているので、短編連作ながら1冊で一つの物語として成り立っていると思います。


ここら辺が今までのスニーカー大賞とちょっと違う点であると思う。
突出していいところがあるかといわれるとそうでもないのだが、悪い点がなく全てにおいて平均以上に上手な作品。
いわゆる一つの秀作とでも言うところでしょう。
また、作り的に続刊がやりやすそうだし、すでにドラマCDの話もあるらしい。
個人的にこの作品、メディアミックスには向いていると思う。


今までの系統からするとスニーカー大賞作品らしくない作品だけど、作品としては伸びそうな気配があるかもしれない。
あとは定期的に続刊が出せればの話だけどねww


なんか私も安売りしているかもしれんが、ラノベでは久し振りの満点差し上げます
総合評価:★★★★★

*1:実際にはゲストが多いので本当に多い