ライトノベル『乱☆恋 婚約者は16人!?』

乱☆恋  婚約者は16人!? (富士見ファンタジア文庫)

乱☆恋 婚約者は16人!? (富士見ファンタジア文庫)

これは面白かった。
舞阪先生の作品にしては、脱線が少なめww
この作品はいたって純粋たるご都合主義の典型である「ハーレム」展開を踏襲しているのだが、しかしながらそれを逆手にとってとても良く昇華させている。
ご都合ハーレム主義は「またハーレムかよ」と思われても、それを納得させればあとはまとめ方と文章力の勝負となる。
まずその納得できるという点でこの作品はうまく下地を作り込んだ。
それはどういうことかというと、まず1番目にくるのが実際にハーレムを築いてもおかしくないような立場の人が主人公というのがポイント。
とある王政国家の王太子
今の時代だったらたとえ王太子と言えど重婚はないだろうが、時代は中世風なので重婚や世継ぎを生むための後宮もありなわけです。
なんか地味な高校生とかではなく、ここはうまく主人公の立場を明確にしたと思う。
その他には主人公を取り巻く環境。
主人公は王太子と言えど、そこまで国力が大きくはないので、隣国含む列強国との覇権争いなどに巻き込まれる可能性もありえるわけであって、そのために昔から外交国家として成り立っていたことがある。
その手段の一つに幼かった王太子の婚約をとり決めておくこと。
さすがに婚約者が16人とはさすがに異常だが、立場上婚約者がいてもおかしくない環境下にあるところが、この作品のハーレム化をある意味正当化させるに至っている。


基礎を固めて、あとは成長した王太子とまだ見ぬ約束ごとだけの婚約者たちとの出会いを書いていくわけです。


そして実際に本編もなかなかに上手に進めていて、何が起こって何がどうなったか。
そしてその結果がこうなるという筋道がしっかりしていて、読む側としてはとても読みやすかったです。
今回登場する婚約者は16人のうち1人目ですが、その彼女が所々の事情で立場が危うくなり、その彼女をどう助けるのかというところで終わりました。
一応の決着をみましたが、1人目の婚約者を最終的に救うため2人目の婚約者と3人目の婚約者に会いに行くという理由もなんとなく納得できます。


要するに上手に理由付けして物語をきちんとすすめているのですね。
そして正当化ハーレムwwときたら、これは読むしかないでしょうww


16人の婚約者全員と出会ったとき、王太子とその国は一体どうなっているのか。
そして婚約者たちはどうなるのか、これだけの婚約者をいっぺんに扱えるのかは、舞阪先生の腕の見せどころです。


総合評価:★★★☆