詠う少女の創楽譜

詠う少女の創楽譜 (MF文庫J)

詠う少女の創楽譜 (MF文庫J)

いかにもMFらしいノリと展開で魅せてくれた作品。


作家さんはゲーム系のシナリオライターさんですね。
ISのあのかたもそうですが、最近MFはそっち系の人を起用することが多いですね。
でも、さすがにそういった道をやってきただけあって、小説がどうとか言うのは抜きにすれば、文章はきちんとしています。
歌が魔法で詠うための歌姫と、演奏で盛りたて歌姫を援護する奏士が男女というのはまぁお約束で、二人のコンビネーションを調律という言葉で、半ば合法的キスを設定するのも、ラノベの世界ではお約束ごと言ってもいいでしょう。
主人公もありきたりの設定でよくもなく悪くもない、典型的なラノベの主人公です。
この作品ヒロインが実妹で、これまた典型的な兄ラブのブラコン設定で、歌が魔法という世界を軸に、見事にラノベのお約束事で、土台を固めました。
したがって、超ベタすぎるラノベですが、昨今の世相からすればごく普通以上のできであるかと思います。
展開とか流れも無理なくやってますし、最後の閉めも悪くはありません。
セクハラだかパワハラのお姉さんキャラの学院長もいい味出しています。


しかし、ヒロインが実妹であることが今後の展開にどう影響するのか微妙です。
まさかの実妹エンドはちょっといろいろな意味でまずいだろうとは思いますが・・・
かといって、主人公の調律相手の山辺花穂は、実妹の強烈ブラコン度合いに加え、印象が強烈だった学院長にかなり負けていると思う。
血縁関係でない分有利なのだが、実妹と兄の絆が強力なだけにこのキャラの弱さがどう活きてくるのかが、作品そのものの善し悪しを決める可能性もあるかも知れません。


この1巻は導入部ということですんなりと読み終えられました。