僕と彼女のゲーム戦争

僕と彼女のゲーム戦争 (電撃文庫)

僕と彼女のゲーム戦争 (電撃文庫)

ひょんなことから最近共学になったばかりの元女子高に編入した岸嶺は、読書が趣味のおとなしい少年。
元女子高だけに周りが女子ばかりという環境の中、マイペースを保っていた彼だが、現代遊戯部という部活に関わった途端に彼の運命と、その隠れた才能が発揮されることに。


作家や身内だけでなく、一般でもゲーム好きであることは結構知られている師走トオル氏の新作は、実名ゲームをそのまま題材にした作品。
主人公は平凡な男子高校生であることは変わりないが、ゲームを通じてその隠された能力を垣間見せるのと、ゲームの腕が上がっていくのは、ファンタジーに通じるところがある・・・・のか?
そして、お約束の美少女生徒会長兼現代遊戯部部長に、大抵セットでくっついてくるちょっと思考性が変な顧問教師。
ラノベ的キャラ配置でゲームバトルをやるとこんな感じと言わんばかりのお約束の物語なのだが、そこは師走トオルの筆力で絶妙にカバー。
それにゲーム好きもいい方向に向かっているのか、描写も丁寧で分かりやすい。
主人公の特殊ww能力部分は字体を分けることにより上手に分かりやすくしています。
難の変哲もないゲームバトルラノベだけど、物語の質とか、筆とか、流れが非常に丁寧に作られています。
また、ゲーム部分は細部にこだわった描写や、少しマニアックな部分もみられるが、それをうまく表現して分かりやすく面白くしているのも、著者が師走トオル氏ならではかもしれません。


今では、現役のゲーマーでさえ存在そのものを知らない、ある意味名作ww(迷作?)のスぺランカー・・・しかもファミコン*1を持ってくるのは、この手の物ではお約束なのか、マニアックなのか。
あのゲームのあまりにも理不尽なキャラの死に方は、実際にプレイしたことがある人にはよくわかります。
それを、強引に設定して理不尽をさも当たり前のようにしてしまうのには脱帽した。
これもゲーム好きの師走トオル氏のなせる技なのかもしれない。


最後はお約束のゲーム大会と、次回につながる複線を貼って終わりましたが、これは続編も期待できそうです。


総合評価:★★★☆


ところで、私の中ではファミコン版スぺランカーは「ゲーム史上もっとも弱いbest1」だったのだが、この意見は大抵の人が賛同するのだが、その逆はいつも揉めるんですよね。
私的には下記の3つが候補なんですが、みなさんはどうでしょう?

グラディウスシリーズのオプション
R-Typeシリーズのビット
X∞の触手




どれも人じゃねぇ

*1:ゲーセン版もあるのだが、こっちはファミコン版の不評があったのか、少なくとも自分の体半分の段差から降りた程度では死なないww