バカの壁撤去が、今後増税にならんことを願う

さて、このタイトルどういうことかといいますと、これは九段下駅のことです。
九段下は都営新宿線のホームとメトロ半蔵門線のホームが隣接しあっています。
前はここの間に壁が1枚あったのですが、それを撤去してこの両線の乗り換えをスムーズにする話です。
これは副知事時代の猪瀬氏ときに決まっていたことで、都知事になる前にすでに行うことは合意済みだったとのこと。
実行中に猪瀬氏は都知事になり、あたかもクローズアップされた格好になりましたが、もうだいぶ前にメトロと交通局の間では合意済みだったのです。
その猪瀬氏が、著作「バカの壁」にちなんでこの壁のことをこう呼んでいました。
そもそも猪瀬氏がやれと言ってこれを実行したわけではないとは思います。


さて、簡単な説明はここまでにします。
今回のこの壁の撤去により九段下駅は共用駅としての使命もスタートしました。
構内がつながったことにより、これまで分かれていた都営とメトロの改札はどちらの切符でも使えるようになりました。
都営新宿線の新宿行きホームから、メトロ半蔵門線の押上方面ホーム、阻止その逆は階段を使わずに乗り換えができます。
こう書くといいことづくめに見えますが、この壁1枚実はかなり重要な意味がありました。
なにかというと、それは白金高輪駅の存在です。
九段下とはまた離れた駅とこの九段下にどんな関係があるのかというと、この白金高輪駅も都営とメトロの共用駅で、さらにそこから目黒方面は線路も共用です。
つまり、都営とメトロのノーラッチ改札が2か所になったわけです。


簡単に例をあげてみます。
白金高輪から九段下駅に行く場合です。
都営三田線に乗り神保町で新宿線に乗り換えて九段下で降りた場合どうなるか。
白金高輪で九段下まで都営を使った場合210円です。
当然その切符を買って乗りますから、九段下駅で切符を回収されます。
しかし、最近はPASMOsuicaの発達でICカードで乗ることが普通になりました。
ではICカードで乗った場合どうなるか。
ICカードは乗った駅では記録だけとり、降りる駅で金額をチャージから引きます。
ということで、九段下で運賃が引かれます。
この場合、190円になります。
都営地下鉄に乗ったにもかかわらず、190円になります。
どういうことかというと、メトロで白金高輪-九段下を乗った場合は190円なんです。
ここで問題が生じます。
都営を乗ったにもかかわらずメトロの運賃が引かれるとは一体どういうことか。
ICカードには路線の複数の利用ルートが想定される場合、最も安いルートを選択するように決まっています。
ここまで書くと勘がいい方は気がつくかも知れませんが、白金高輪-九段下はルートが2通り選択可能になるということです。
そしてそのルートの判別は不可能であり、最も安い運賃を請求する決まりの上、こうなるということになります。
今までは"壁"があったために、九段下の改札は別々だったのでメトロなのか都営なのか判別可能だったのです。
しかしその唯一の判別可能なツールを撤去してしまったのです。


これは非常に重要な問題です。


たかがルート判別ができなくなっただけでどういうことになるか?
今回のルートだけでもかなり大変なことになるのは必須です。
まず、壁1枚撤去したとはいえメトロと都営は別組織です。
したがって運賃収入はまだ別計上です。
仮に都営地下鉄を使って白金高輪-九段下の客が190円を払った場合、その収入はすべてメトロに行きます。
都営に本来はいるはずの210円が入らないばかりでなく、利用者が20円得してさらにメトロがもっていってしまいます。
はたから見ればメトロの190円横取りですwww
しかし、ICカードの規約でそうなっている以上、利用者にもメトロにもそして都営にも非がありません。
しかも、利用者はその意図がなくても自動でなってしまったらどうなるでしょう。
一人が210円を払わなくなったとしても、毎日一人210円とすれば年間で76,650円の運賃収入を都営地下鉄は失うことになります。
ましてや、都営地下鉄は1日300万人の利用があります。
1日1人ということはないでしょう。
100人位は制度上そうなる人は出てくると思います。
となれば1日で21,000円、年間で7,665,000円にももなります。


そしてこれは現運賃体系と路線網で見る限り、ほぼすべてにおいて都営側の一方的な損失しかないと思います。
都営は地下鉄は黒字だけど、バスとライナーが赤字、そして大江戸線とライナーの建設費の債務がまだ残っています。
そんな状況の東京都交通局で、唯一の稼ぎ頭の都営地下鉄の運賃収入をさらに減らすことをしてもいいのか?
というのが私個人の考えです。


これが壁1枚の撤去で必然的に起こりえる状況です。
そしてこれは今日から始まっています。
この予想される損失に対して、都営とメトロは何か話をしているのかいないのか?
そこら辺は調べる暇がないので調べていませんが、都営としては何か対策があるのでしょうかね。
そこら辺に関する話は全く聞かないので。


いずれは経営統合を考慮しているのでしょうが、まだ具体的な話が見えていない以上、今回の壁撤去は"まだ早すぎるのではないか?"と思います。
せめて損失補てん分を何か穴埋めできそうな策を練ってからでもよかったのでは?


まさかの損失分の税金投入・・・・はいくらなんでもないだろう。
まぁ、これは極論だけど。
そもそも東京都交通局へ公的な資金が投下できるのか法的なところは詳しくないのでねww