読書感想「必殺闇同心」

黒崎裕一郎先生の痛快娯楽時代小説。
個人的には、冥府の刺客よりはこっちのほうがスキだ。
同じ定町廻りの同心でも、この闇同心シリーズのほうが、江戸時代庶民の生活ぶりや心情がよく現れていると思う。


主人公は人事の都合で閑職に追いやられた同心「仙波直次郎」。
普段から、町方役人の荒廃ぶりにいらだちを募らせていたが、ちょっとしたきっかけで巷で噂になっている「闇の仕事人」の存在を知り仲間になる。
基本、黒崎裕一郎先生が脚本化時代に書いた「必殺仕事人」と似たような系統。
まぁ、ほとんどかわら行けど(笑)
痛快さではこちらのほうがいいかな。
仙波直次郎も闇の仕事人とはいえ、一定の良心を持っているところがいい。


闇の仕事人の元締めはイマイチしっくり来ない設定だったことと、仙波の恨みを買う悪役が少し多いのではないかな。
その分仕事にいたるまでの描写がうすくなっている。
最後の中瀬数馬の話は次回に回してもよかったのでは?
そこら辺は続刊に期待します。

評価:★★★