咲-Saki-第3話『対立』に出てきた麻雀用語の解説

咲-Saki-第3話『対立』に出てきた麻雀用語、および第3話で起こった麻雀独特の現象の解説です。

番組開始10分47秒〜11分2秒

なぜ、優希はが、和に対して安全だと思ったのか?
それは、スジ切りスジ引っ掛けの事情から

麻雀は相手に振り込まずに、自分がいかに上がるかを競うゲーム。
優希は、和がリーチしたとしても勝負するつもりだった。
そこでを捨てるのだが、これには理由がある。
優希は原村和の捨て牌にがあることを確認(写真1枚目)したからだ。
これを見て優希はは当たりではないと判断した。
この捨て牌は『スジ切り』と呼ばれる捨て方です。
なぜが捨てられているとを捨てられるのか?
それはここで解説するにはちょっと長くなるので、麻雀ルール解説の捨て牌から読み取る安全牌と、フリテンについてを参照されたし。
いずれそのあたりについての解説をします。
しかし、実際には和はこんな待ち方をしていた。


これは変則四面張という待ち方で、多面張の1種。
麻雀には当たり牌の待ち方として『両面待ち、嵌張待ち、辺張待ち、双ポン待ち、単騎待ち』の5種類が基本だが、こういった稀に3種類以上の複数の当たり牌ができる待ち方もある。
こういった待ち方を多面張と呼ぶ。
今回、和の当たり牌はそしての4種類。
上記左側の写真の和の捨て牌から、ピンズを集めているのは相手に読まれている可能性もあると考えられる。
となるとの3種類の牌は出にくい可能性がある。
しかも手牌では3枚持っているのであと1枚。
もあと3枚だが、優希が1枚持っているので実質2枚。
待ち牌の種類は多いが、出る枚数は意外と少なく確率も低い。
そこで、和は事前にをわざと捨てることによって、をスジ切りで、誰かが簡単に捨てるのを狙っていた可能性があります。
これが『スジ引っ掛け』となります。


番組開始11分13秒

和『2700オールです』

2700オール
2700点づつもらうということ。
和のあがった手牌は



ツモがなので、『飜牌(ダブ東)』二飜、『門前清自摸和』一飜
親の40符三飜ツモアガリの一本場。

40×2×2×2×2×2×2=2560⇒2600

これに100点プラスで2700点となる。


番組開始11分44秒

咲『ツモ。リンシャンカイホウ、ツモ、メンチン

メンチン
門前でチンイツをあがること。
リンシャンカイホウとツモに関してはもう説明は要らないかな?
メンチンの正式な役名は『清一色(チンイーソー)』で通称『チンイツ』と呼びます。
これを門前でやった場合、『メンチン』と呼ぶことがあります。
チンイツはマンズ、ソウズ、ピンズのどれか1種類のみで手配を作った役です。
非常に作りにくい上に、捨て牌からチンイツを狙っていることは、あっさりばれる傾向がありますので難しい役のひとつです。
通常役の中では最高の六飜役で、鳴いても五飜つく高得点が狙える役です。


番組開始11分47秒

優希『ば、バイマン!?』

バイマン
倍満のこと。
麻雀では飜をたくさんつければつけるほど高得点になりますが、じつは飜の数だけ2倍して計算しているのです。
すると、どんどん倍数で増えていくため、飜が多くなるほど数字が天井知らずになり、途方もないことになります。
そのため、子の場合は8000点、親は12000点を超えた時点で計算を打ち切り、定量得点で頭打ちにしています。
倍満は飜が八飜〜十飜になると与えられる得点で『親24000点、子16000点』となります。
ちなみに、このときの咲の役は

メンチン:六飜
リンシャンカイホウ:一飜
門前清自摸和:一飜
合計:八飜

となり、倍満です。
子のツモアガリで二本場のため、親である和は8200点。
他のふたりは4200点を咲に支払います。


番組開始13分2秒〜13分42秒

国士無双 聴牌!!
国士無双とは13種類ある么九牌(1と9と字牌のこと)を一通りそろえて、最後に13種類のうちのどれか1枚とで組み合わせる役。
この国士無双という役は第2話で咲があがった『四暗刻』と同じく『役満』である。
よって、親の場合は48000点、子の場合は32000点である。
聴牌とは、あと一枚であがれる状態のこと。
すなわち、咲はあと1枚で国士無双があがれる状態だったのである。
ここで、問題になったのは京太郎の捨て牌と、咲の見逃し。
咲は京太郎が捨てた時点で手配はこうなっていた。

つまり既に国士無双聴牌だったのである。
この状態の場合のあがり牌はである。
そして、京太郎が捨てたのはで、実は咲はあがれたのである。
それを咲は見逃した。
この時点ではこれは咲にしか分からないことだった。
しかし、そのあとに優希がリーチ。
その次に咲が取ってきた牌がだったが、咲はこれが優希が待っている牌ということが分かったのだろう。
咲のこの時点での手配はこうなった。
  
ここで咲はある行動をすることになる。

いわゆる牌入れ替えテクニック。
まぁ、いかさまテクニックの基礎ではあるが、りーチしてない状態でのこれは特に問題ではない。
しかし、咲はこんな高等テク持っていたのか・・・。
それで、咲の手牌はこうなった。
    


これで、を切って優希にロンされてしまうのだ。
周りから見れば、咲はを持ってきて国士無双聴牌になったから、やむ得ず優希の当たり牌と分かっていてもを捨てたというふうに見えるのである。
そのように咲が操作したのだ。
案の定不思議に思った京太郎が咲の手配を見てしまうわけだ。

京太郎『ああー、こりゃツッパルわな・・・』

ツッパル
たえとえ、相手がこれで待っていようとも、勝負するため敢えて捨てること。
今回のような役満聴牌の場合なんかはよくやる。
あたっても『おれは役満聴牌しただけでも十分だ』という気分になることも。
それだけ役満というものには魅力があるのだ。
しかし、一人だけこの咲の手配に疑問を持つ者がいます。

和『ウーピンツモギリだから手代わりしてない

ウーピン
のこと。
中国語で"5”を『ウー』と発音することから。
ツモギリ
ツモとは門前であがったときにつく役名以外に、麻雀では牌を取ってくる動作を表す『動詞』として使うこともあります。
山から牌を取ってくることを『自撲(ツモ)する』と言うのです。
それで、持ってきた牌がいらない場合、そのまま捨てることがありますが、これを『ツモギリ』といいます。
手代わりしてない
ツモギリした場合、13枚の牌と取ってきた牌の交換はしてませんから、当然13枚の牌にはなんの変化もないはずです。
手が変わってないので、『手代わりしていない』というのです。


つまり、和は咲の牌入れ替えをちゃんと見ていたということになります。
この牌入れ替えを知っていたため、咲はを取ってそれをそのまま捨てたことを理解したのです。
これで、和には咲が京太郎から国士無双をあがらず、わざと優希に振り込んだことも同時に理解しました。
それで、これ以降はああいう展開になります。