咲-Saki-第4話『翻弄』に出てきた麻雀用語の解説

咲-Saki-第4話『翻弄』に出てきた麻雀用語、および第3話で起こった麻雀独特の現象の解説です。
番組開始15分57秒

まこ『イースーチーピン両形待ち聴牌

イースーチーピン
のこと。
両形待ち
今回の場合、これは前述のイースーチーピンに絡む。
藤田プロのを切ったときの手牌はこうなった。
この手牌の場合、あがり牌はとなり3面待ちで手牌に加えられているを1枚差し引いても、3種類の牌で合計11枚ものあたり牌が存在する。
非常に高確率であがれる待ち方のひとつで、麻雀では理想の待ち方。
どうしてこんな待ちになるかというと、
の部分に関わる。
これを分解すると

となる。
がくれば順子となり、とあわせて、順子二組が完成する。
がくれば順子となり、とあわせて、順子二組が完成する。
要するに2つの待ち方が同時に存在するのである。
これがいわゆる両形待ち(両方の形式で待てるから)
番組開始15分57秒

和『リャンピンの対子落としで、いったん回る

リャンピン
のこと
回る
別の人が聴牌していると思ったり、リーチしていたりする場合に、自分がどう攻めきるかを選択するが、相手にまずそうな牌を取ってきてしまった場合、自分の手牌に加えて安全そうな牌を捨てることがある。
そして、その危険牌を手元に維持しながら再び別の勝負手に変更することがある。
これを『打ち回し』といい、麻雀の高等テクのひとつ。
安くなったりすることもあるが、それでも相手に当たらずに自分が上がれて、手におさめたのが相手のあたり牌だったときの予想的中の瞬間は醍醐味がある。
仮に流局になった時点でも、相手が自分の予想通りの牌で待っていたなら、それは良かったと判断することもある。
ちなみに、相手が聴牌していると判断して、自分に勝ち目がないと思い勝負を捨てることを『降りる』という。
和が引いたのはで、これがリーチした親に通らないと考えた。
また、咲も聴牌していると仮定しが非常に危険と判断したのだ。
しかし、勝負を降りるわけには行かない和はを切って打ち回しを行うことにして、ひとまず様子を見ることにしたのだ。
だから『回る』と言ったのである。
それにしても、このときの原村和のローアングルはすごいですね。
きっと本人目線からは、足元が見えないのでしょうw
番組開始16分57秒

和『親リーチ相手にカン!?』

これは後述のまこのセリフで説明するが、基本的に親がリーチしているときにカンをするのは、よほどのバカモノか初心者か、あるいは自分が親よりも有利でないとやりません。
つまりは『普通はやらないぞ』ということ。
カンをするとドラが増えるので、相手に乗ることも考えられる。
しかも、カンした分だけ手牌の範囲が狭くなるので、打ち回しが更にやりずらくなるからです。
私だってやりませんよw
とくに和の驚きようは常軌を逸していた。
これは後述のまこのセリフでまとめて。
番組開始16分47秒、17分37秒

咲『原村さんをまくる
藤田プロ『まくった

まくる
オーラスであがり、トップだったひとに対して逆転し、自分がトップになること。
動詞であるため、変化する。
咲のセリフは未来形で、藤田プロは過去形だ。
そして受動系で原村和は『まくられた』ということ。

実際にこうなった。
番組開始17分54秒

まこ『和には理解できん打ち筋じゃろう』

まこが藤田プロがどういった打ち筋に変更したか解説してますが、藤田プロは当初の待ちであったのを、親リーチ相手にカンしてまで崩したのである。
最終的に藤田プロは待ちという確率が低い待ちに変更したのだ(ちなみに、こういった待ち方をノベタンと呼ぶ)
あがったときに藤田プロの手牌を見せられて、いままでの流れから先述の親リーチ相手のカンを含めて、和は藤田プロが『なぜそんなことをした』ということに驚愕したのだ。
それを端から見ていた染谷まこが言ったのが上記のセリフである。
なぜ、和の驚きようが尋常でないことと、まこがそのようなセリフが言えるのか。
これは和の打ち方スタイルによるところが大きい。
麻雀を打つ人を通称『雀士』と呼びますが、この『雀士』には3種類のプレースタイルがあるといわれています。
和はそのうちのひとつ『理論派』に属する雀士です。
簡単に説明すると理論派は、確率と統計によって裏づけされた計算ごとによって麻雀をする、堅実なプレースタイルのことで、言い換えれば『常識的な雀士』ともいえます。
ですので、麻雀の打ち方で『まさか』というような、非常識なことにはいろいろ驚いたりするのです。
染谷まこは和のプレースタイルを知っていたから、藤田プロの『常識を覆す打ち方に驚くのも無理はないな』と言っているのです。
しかし、その藤田プロは、前の和の捨て牌を見た瞬間、和の理論的な打ち方を考慮して、の対子う捨てることを見抜いた。
そしてカンをして手牌を崩し、和がもう一枚捨てるであろうを狙うような待ち方に変更したのである。
こんな打ち方、理論派の和には予想も付かないのは当然だ。
藤田プロの場数と経験と技術がなせる業だ。
これで手玉に取られた二人は、もう勝ち目がなくなったわけ。


今回は麻雀の専門用語はあまり出てきませんでしたが、麻雀の特異な状況が結構ありましたので、麻雀を知るうえでは返って好都合のエピソードでもありました。