ライトノベル『純愛を探せ!』

純愛を探せ! (GA文庫)

純愛を探せ! (GA文庫)

虚言と姦淫を司り、大天使をも倒す力を有す魔神・カルマ。無敵の彼に最大のピンチが訪れていた。それは魔王陛下の愛娘レイナ王女からの求愛である。誰もが恋い焦がれる魔界きっての美貌の持ち主だが、その性格には少々……いや、大きな難があった。カルマの誕生日にペットの「触手生物」を送って来るくらいに……。己の貞操に危機を感じたカルマは、かねてからの思惑もあり魔界を家出した。そう、そんな心配の要らない、真実の愛を探すために!
そうして赴いた人間界で一人の少女と出会えたのだが、彼女と愛を育むには様々な障害が待ち受けていた。カルマの純愛は成就するのか!?

GA文庫大賞奨励賞受賞作。


基本コメディなのだが、カルマが姦淫を司るので、バックボーンに意外とエロスが関わっている。
それと、紹介文で出てくる王女レイナはほとんど脇役で、カルマと侍女リビエラで話が進む。
このリビエラがおいしいキャラで、的確なボケをかましカルマのツッコミと相まっていいコンビだ。
恋愛でのアドバイスもこれが的確。


ヒロインのカエデは 『いまどき存在しないよ』という突っ込みをしたくなるような清楚キャラ。
お約束の高貴な家柄の政略結婚の渦中にある。
その親友がカルマの敵で天使でもあるキサラ。
それぞれ微妙な立ち位置で物語が進んでいく。
デビュー作としてはキャラの設定はOKだろう。


魔神であるカルマと、人間界にいる天使との確執とかあるんだけど、そういったものはほとんど登場せず、あくまで『カルマの純愛路線』に重点を絞った点が、物語をいい方向に持っていっていると思う。
無駄にバトルとか省いた点が、作品をよくしている成功部分かな。


ただ、クライマックスはやはりバトルがお約束なのか、あの人との戦いになる。
しかし、ラストのこの落としどころはどうだろう。
まぁ、あとがき読む限り売れても売れなくても、とりあえず2巻だけはありそうなので、こういった落としどころにしておかないと続かないからね。


新人デビュー作としては、及第点でしょう。
評価:★★★