ライトノベル『魔法の材料ございます ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚』

いらっしゃいませ。ドーク魔法材店へようこそ! わたし、この店で働いているサシャと申します。
ここは三十年前に高名な魔導師が創業したお店です。今は三代目が店主を務めているのですが、在庫管理はいい加減、仕入れは無計画だし、今日も予約が入っていたドラゴンの鱗を別の人に売ってしまったんですよ?
まったく、わたしがいないと店番ひとつもできないんですから。
それで、すぐに買い戻してくるように言ったら、なぜかドラゴンの鱗でなく金髪ツインテールの美少女を連れてきたりして……困ったものですよね。

なるほどGA文庫大賞奨励賞作品
以下ネタバレ注意!!


魔法材料を仕入れる偉大なる大魔道士の孫。
しかし、とてつもなくだらしなく、店の経営がおぼつかない。
そこに店の管理を行うしっかり物の店員兼ヒロイン。
ありきたりのような気もするが、着眼点的にはまぁ悪くないと思うのだが、実際に読んでみて何これ?と思わずにはいられない。
基本店を切り盛りするヒロインとグウタラ主人公の魔法材料仕入れの奮闘物語と思いきや、萌え担当金髪美少女がいきなり現れ、主人公とドラゴン退治(本当はドラゴンの鱗求めての旅)の旅に出てしまう。


まぁ、この金髪美少女がサブヒロインであるなら、二人で旅に出るのもしょうがないが、問題なのはこのキャラのわがままぶり。
至って、このようなキャラがお嬢様系でわがままなのは良くあることだが、何事も度を越すとよくない。
その典型例がこのキャラである。
あまりのわがまま振りには、感情の思い入れはまず無理。
この時点で、この作品の良い部分が激減してしまっている。
さらに悪いことに、このキャラと二人きりで旅に出てしまうため、ヒロインの扱いが雑にならざるを得ない。
強引に途中出てくるが、正直出番なしと言ってもいいだろう。
全く設定が活かしきれていない。


それと物語の最初に出てきた魔道士が最後の最後まで出てこない。
それならわざわざ最初に出すか?と思えてしまった。
最後にひょっこり登場でもいいじゃん・・・・。


それで、ここまで酷評してしまったのだが、一番悪かったのは本当の最後。
締まりが悪すぎ
物語の肝はドラゴンとの対決だったのか、それとも魔道士との対決だったのか。
主人公の正体が最後で明かされるも、それも微妙な展開。
なんだか、最後の数ページでめまぐるしく物語を締めくくろうと強引に急展開を持ってきたのだが、かえって混乱してしまった。
それで、最後の最後でヒロインとの締めくくりのエピローグ。


売り上げ次第では続刊あるだろうが、正直これでは続刊どうしようか迷う。
下記3点を多少なりとも修正したほうが良いと思います。

ヒロインの扱いを丁寧に
サブヒロインの性格を読者に感情移入させられるように
物語構成をきちんと順番だてる

キャラの基本立ち位置、物語世界観、魔法の設定等はいいところまで言ってると思うが、上記3点が激しくマイナス面を強調してしまっている。
それゆえの奨励賞か・・・。
次は別シリーズか続刊か不明だが、やりようによっては著者も作品も今後の頑張り次第ではいくらでも良くなると思う。
そう考えれば無限の可能性を秘めていると思いますよ。
でも、今回はかなり辛口。

総合評価:★☆



同月発売の織田信奈は良かったのだが・・・。
GA文庫作品まだまだバラつきあるね。