ライトノベル『プリンセスハーツ―両手の花には棘がある、の巻』

ルシードが北に遠征中に、ロ・アンジェリー城の正妻ジルのもとへ、愛妾が花嫁行列をなして乗り込んできた!?
そして愛妾の本当の目的を知るとき、ジルとルシードは…!?
マシアスの意外な過去も明かされる!

これは面白いですね。
まず、第1巻で正妻自らが側室を募集するという、思いもよらない展開を持ってきたこと自体が、意外性があって物語自身を面白くしているのですが、まさかこの愛妾問題を2巻に引き継ぐことになるとは思いもしませんでした。


また、この愛妾が中々の曲者で、狡猾で、やり手でといろいろな意味でジルにとって強敵になります。
正妻vs愛妾に加えて、頭の働く曲者同士の女の戦いという点でも物語を面白くしているところがいいですね。


途中、愛妾の実母が事故に見せかけられた謎の死を遂げたり、ジルはなぜか愛妾の実家の庭師と料理長を調べたり、この戦いに関係なさそうな、星教団体との確執と第1巻で問題を起こした司教の変わりに入った新しい司教など・・・。
一見ただの伏線にしか見えないのに、最後の最後で一つになるのが、この物語のもう一つの魅力です。


最後にまさかの正妻であるジルが罠に落ちたところで続くとなってしまいましたが、続きがとても楽しみです。


総合評価:★★★★


あと、私個人的に高殿円さんは大好きです。
なにが好きかというと、物語の構成とか文章体の割には素が出ていると思われる、あとがきや自身のブログの文章とのギャップがとても大好きです。