京急空港線の上り高架完成後のダイヤを勝手に作ってみた

5月16日に京急は上り線の高架工事を完成させ使用開始をしますが、一体どんなダイヤになるのだろうと、勝手に予想を立てた。
ちなみに、この時期にダイヤが全く決まってないと言う事はないはずだし、運輸管理側には届出が出ているということなので、少なくとも内々では決まっているのだろう。
さて、今回のダイヤ改正では下記の項目がポイントとして挙げられると思います。

上り高架完成により、踏切解消
梅屋敷駅の上りのみのドア締め切り扱い解消
暫定ながら空港線との平面交差解消
蒲田駅での本線緩急接続可能(上りはまだのようだけど)
空港線全線条件付だが複線化

こんなところですが、実際にまずどんな事になるのか、集められる情報だけでこんなものを書いてみました。
まずは今の京急蒲田駅です。

空港線のホームは現状一本。
さらに上下の列車が空港線ホームに入る際に本線との平面交差があります。
これが、5月16日に上り線が完成すると、予想ではこうなります。

空港線上りはそのまま本線上りの2階ホームに入れるようになります。
ただし、空港線上りは工事完成後には実際には3階の本線下りホームに入る事になってます。
ですので、途中で空港線下りの路盤に入る事になりますね。
さて、実際に横浜方面と空港線の電車が直通する際にはどういう線路をたどっているのか

見てお分かりのとおり、横浜方面から来た場合、本線上り線を平面交差で跨いで空港線ホームに入ります。
そして、糀谷駅手前にある信号所までは空港線は単線なのです。
ここが空港線のダイヤ上のネックになってます。
では、現在の空港線の日中のパターンダイヤを

まるで神業のようなダイヤです。
青いラインは都営からの急行赤は横浜方面からの特急緑がエアポート快特です。
オレンジで囲ってある部分が単線閉塞区間で、この区間内には1列車しか進入できません。
作った私は素人で、京急には本職のプロのスジ屋がいると思いますが、それでもまさにこのダイヤ作った人はネ申とでも言っておきましょう。
見事なダイヤです。
糀谷の手前の信号所ですれ違うようにして、単線閉塞区間には列車は1本しか入れないように出来ており、蒲田駅のホームには1列車しか入らないように構成されてます。
まさに圧巻ですね。
そして京急らしい職人芸ですね。
ダイヤグラムで書くとこうも良く分かるものかと・・・。


では、5月16日以降の横浜-空港線の電車のルートです。

このように、本線・空港線の平面交差はなくなります。
しかし、ここで問題が発生してます。
それは糀谷駅前の信号所がなくなり、大鳥居よりにシーサスが設けられている点です。
このシーサスは大鳥居よりに500mほど移動しており、そのため閉塞区間が延びます。
実は横浜-空港線方面は図のとおりなのですが、品川方面から来る電車は、蒲田-シーサスの間を横浜方面の電車とは逆方向に走ります。
では、これを考慮して考えてみた、空港線のダイヤです。

かなり厳しいです。
エアポート快特の設定が難しくなってます。
青は品川方面からのエアポート急行赤は横浜方面からのエアポート急行緑が曰く付きのエアポート快特です。


まず、この改良後のダイヤで問題になるのは、閉塞区間の延長以外にもうひとつありまして、それが10月開業の羽田国際ターミナルビル駅の開業です。
ここには全列車が停車する予定になってます。
そのため空港線内の所要時間が1分ほど延びる可能性が出てきました。
そして、単線並列閉塞区間の延長です。
ダイヤグラムのオレンジで囲まれた部分が単線並列区間で、この中では以下の条件が課せられます。

青いライン同士の交差はOK
緑のライン同士の交差はOK
赤いライン同士の交差はOK
のラインの交差はOK
赤のラインは他の色のラインとの交差はNG

正直、素人の私が作ったので実際にこうなる可能性はありません。
でも、上り線の高架がなって柔軟性が出たとはいえ、本線と都営地下鉄、さらには京成方面との調整もある中、大幅な変更は不可能でしょう。
特に本線系統の快特普通列車はいじれないと思いますし、渡英に入る列車のタイミングもずらす事はないと思います。
改正後もエアポート急行6本/hour、エアポート快特3本/hourの合計9本/hourは変更できないでしょう。
それで、問題になるのが国際線ターミナルビル駅。
ここで空港線の電車は停車するため1分ほど伸びると思います。
すると、エアポート快特はどうしても、8分で走破する事になります。
各電車、往復で2分の増加があるんですね。


上りの都心方面のエアポート快特京急蒲田で、下手すると横浜方面のエアポート急行とぶつかりそうな感じがします。
作ったダイヤでは羽田空港を2分早く発車させてますが、蒲田駅での遭遇は2分。
この間にエアポート快特は蒲田での客扱いを終えて品川方面に発車しないといけません。
もちろん、羽田空港発車を遅らせるわけには行きません。
そうすると本当に蒲田でぶつかります。
では、さらに早くすればいいと思うのですが、そうすると今度は京急蒲田から先、本線の快特泉岳寺行きの先行になっていまいます。
ですので、蒲田到着は毎時12分、32分、52分となってます。
逆に羽田空港行きのエアポート急行を遅くすると、今度は羽田空港での折り返しが出来ません。
また、シーサスの手前で都心方面のエアポート急行と交差してしまう可能性も出てきます。


結局のところ、蒲田駅はまだネックなんですね・・・。


それから、この前実際に乗ったのですが、空港線羽田空港方面に向う人ですが、蒲田駅でちょっと観察してみました。

横浜方面からの特急羽田空港行(4両編成)
京急蒲田までは空いているが、品川方面から本線快特でやってきた客がどっと乗り込んだ。

都心からの急行羽田空港行(8両編成)
⇒横浜方面から本線快特でやってきた客が蒲田から乗り込んだ

エアポート快特(8両編成)
⇒横浜方面から本線快特でやってきた客が蒲田から乗り込んだ

ほとんどが京急蒲田で乗り換えする客ばかりですね。
しかも、皆さん結構大荷物で、蒲田駅のホームはかなりの混雑です。
まず、横浜方面からやってくる今の特急4両ですが、正直輸送力不足です。
ここは8両にしないと、混雑期や空港有効利用時間帯はすぐにパンクしそうです。
実際に私が乗車した電車はつり革にすらつかまれません。
もう少しで足が浮くところでしたww
それで登場するのがエアポート急行ですが、横浜方面の客はほとんどこの列車に集約したい所でしょう。
逆に都心からの客も、ノンストップのエアポート快特に乗せて完全に振り分けないと、京急蒲田駅の乗り換え客の数は減りません。
国際線ターミナル完成後や、今後の羽田空港の発展振りを考えると、京急蒲田駅の乗降客は大きく増えないと思いますが、通過客は確実に増えます。
高架下り完成を早急に行って、空港線直通列車を1時間9本から12本に増やすくらいの気合を見せてほしいのと、それをしないと輸送力不足に加えて、京急蒲田駅がパンクしそうです。
現状では一番多いのはやはり『JRから品川⇔羽田空港の通し客』みたいです。
まずはこの客を何とかしないと、京急はつらそうです。


それで、あくまで個人的な考えですが、京急は以下の理由でエアポート快特通過を設定したのでは?

国際線ターミナル駅の停車時間を稼ぐため
蒲田駅での停車時間を減らし、ホームの占有率を低下させるため
品川-羽田空港の通し客を振り分けるため

この3つが理由でしょう。
さて、現状で私個人はこのように考えましたが、仮にこのような事情はちゃんと大田区に事前に説明したでしょうか?
今回最大の問題はここにあると思います。
既に大田区から正式な文書で停車要請が出ましたが、このくらいの予想はダイヤの草案を作った時点で京急側は考えなかったのでしょうかね。
大田区には蒲田通過と言うことを抜きにしても、高架で踏み切り解消以外に環状8号線と国道15号線の立体交差工事も加わり、交通の便も解消されます。
それと引き換えに、あんな大型の構造建築物を地元として受け入れ、建設費の負担をしています。
実際に見るとその巨大ぶりが伺えます。
特に線路沿いの人にとって圧迫感は凄いです。
また、実際に糀谷、雑色、京急蒲田駅付近を歩きましたが、環八沿いの商店や、地元の商店に『5月16日上り線完成』の告知ポスターが『これでもか』というくらいに貼ってありました。
それだけ近所の人はこの高架工事に強い期待をしていたのでしょう。


配慮と言うものが欠けていたのか大きな波紋となって、大田区側は今度は感情に訴え出ています。
大田区も情報集めと言う点で、かなりの落ち度はあったと思いますが、交渉事というのは時間をかけて小出しに折衝していくものです。
既に大田区側からの文書が提出されていますし、京急側はダイヤ改正は運輸局に届出しているそうですね。
もうお互い後に引けない状態になっていると思います。
やはり、改正時間前ギリギリまで黙っていた京急に、一番の問題があるでしょう。





この泥沼を脱出するのはもう不可能でしょうね。
京急は自分で入って行ったのですから、誰の助けもなく抜け出すことは不可能です。
自力でやろうとするとさらに泥沼にはまっていく事でしょう。
また、今のところ新聞記事等では大田区よりですが、マニアの声では早くも『大田区わがまま』『地元のエゴ』という声が聞こえ始めました。
京急側の対応次第では、鉄道マニアあたりから全国に広がりそうな気配ですし、一般世論、新聞もこちら側に回る可能性も否定できません。
なにぶん今回の事態、日本を代表する空港が絡みますので、大田区より世論の方が圧倒的勢力です。
下手すると、大田区全体が悪者扱いの烙印を押され、日本全国民を敵に回すことになりかねません。



ここはお互い良く考えないと、共に取り返しの付かない深い傷と遺恨を残す事になりそうです。



追記>
と、ここまで読んでいただいてなんですが、大どんでん返しと言いますか、とんでもないミスをしていたことが分かりました。
実は、都営地下鉄浅草線がすでに5月16日以降のダイヤを発表していますので、それを参考にして組まなければいけないところを、まったく考慮していないことに気がつきました。
わたしとしたことがとんでもないミスをしてます。
どうも、ガラッと変わっているようなので、少なくとも本線もだいぶいじっている可能性があります。
時間があったら見直してみたいと考えております。


さらに追記>
改正後の本線(泉岳寺-横浜)日中パターンダイヤを作ってみました。
これは、京急側から発表された時刻表を元に作っているので、そこまでずれていないと思います。

京浜急行の新しいダイヤが発表されたので、作ってみた・・・本線編