ライトノベル『桐乃くんには彼女がいない』の鉄道に関するところ

川口先生の新しい作品『桐乃くんには彼女がいない』では、挑戦的ともいえるネタがちりばめられています。
他社の作品を惜しみなく登場させたりしているところなんか『やりすぎじゃねぇ?』と思えることもあります。
まぁ、仕掛けは一迅社編集部だと思うんですけどね。
なにせ公式ブログがあのノリの集団ですから


ここでは主人公が所属するのは鉄道研究部という、いわゆる"テツ"の集まりの部であることに注目してみました。
当然鉄道ネタもちらほら出てきますが、ちょっと変わっているのは主人公でもあり鉄道研究部部長の桐野君。
−−−>実は鉄道に全く詳しくない。
しかも、1年も所属して詳しくならなかったという、私からすれば珍しいww人です。
さらに、この物語はこの桐野君視点で進むので、詳しくない桐野君が鉄道用語を連発するはずもないです。
川口先生ご自身、鉄道マニアという話を聞いてませんが、これは上手に設定しました。
これで下手に主人公の桐野君がマニアだったりしたら、その視点はマニア視点で進めなければいけませんから、ここはうまく切り抜けたと思います。
さて、この物語は鉄道研究部に所属する桐野君以外に3人の部員がいます。
しかも全員女の子。
その中で生粋のマニアなのは主人公の幼馴染である『遠山沙由里』のみ。
したがって、マニアックな設定や言葉は彼女からしか出てきません。
ということで、今回は彼女が発した台詞の中から、鉄道マニアについていろいろ考察を練ってみたいと思います。

P.4『そんなにスピード出しちゃって停まれる?急ブレーキは減点よ』

急ブレーキ


マニアはあまり使わない言葉ですね。
マニアは急ブレーキとは言わずに急制動といいます。
ちなみにブレーキをかけてから車両が完全に停止するまでの長さのことを制動距離といいます。
これは自動車などの免許を取る際に教習所でも教わる言葉だと思いますが、鉄道の場合この制動距離が法律で決まっています。
一般健康体の人間が前方に危険を察知できるのは600m先と言われています。
そこから運転士が制動動作をかけて停まれるようにしないといけません。
そのため制動距離は600mです。
したがって、鉄道車両の最高速度は運転士が動作後600mで停止できる性能を有する時点で決められています。
これを決めるのが車両の制動性能・・・いわゆるブレーキの良さですね。
これが時代とともに発展して、この距離で停止できるための最高速度は130km/hと言われています。
つまり鉄道車両は130km/hで走っていても、急制動開始から600mで完全停止できるということです。


さて、このセリフですが、沙由里はマニアではないレナに対して言った言葉なので、まぁこの言い方の方が正しいと思います。
沙由里は結構自重できる子なのか、マニアとそれ以外の相手に対して言葉を使い分けるようなところがあるのかもしれません。



P.29『行き帰りの交通費だけで3万以上、学割使えば3万以下にはなるけれど……』

今回の舞台となった和歌山県新宮に行く際に沙由里が言ったセリフ。
今回は新宮ということで、名古屋まで新幹線。
名古屋から(ワイドビュー)南紀の行程となったが、その合算。
詳細計算は面倒なので省略するが、運賃が9210円ちょっとで、特急料金が乗り継ぎ割引使っても6000円超えるので15000円以下になるのは難しい。
往復なら30000円切りません。
しかし、学割を使うと運賃が2割引なので、9210円の2割引で7368円。
1円の単位は切り捨てなので7360円となり、先の特急券と合わせると13000円ちょっとで往復できます。
ここは間違っていなかったです。
さすがは沙由里・・・というより川口先生実際に取材に行ってきたから分かっているということですねww*1


以降、まだまだ続く予定>

*1:ご本人のブログに熊野方面の取材日記がUPされていた。この作品のためだったようです