読書の秋強化期間 ライトノベル『すてっち!』

同一レーベル連続紹介 HJ文庫特集第4弾

すてっち! (HJ文庫)

すてっち! (HJ文庫)

上乃原高等学校手芸部には、よくも悪くも個性的な部員が勢ぞろい。
そんな個性派ぞろいの手芸部は、いつも明るい・・・のかどうかは分からないが、笑顔?と笑い?!が絶えない楽しい部活。
手芸部に所属する女子高生5人と、その彼女達を取り巻く人たちの日常系ほんわかコメディ。

今までのラノベと違って、この"すてっち!"には大きな特徴がある。
それは、物語の軸というものはあまりないということ。
ひとことで書いてしまうと、女の子4人が軽音部を中心に部活動する物語の、ラノベ手芸部バージョンと思ってもらったほうがいいだろう。
内容も短編連作になっていて、会話が多めになっている。


というより、かなり意識していると思われるww


さて、こういった作品はラノベというより、文芸小説全般で余り見られない方式。
あちらの軽音部はアニメとマンガだが、こっちは活字でやる事になる。
なので、表現が非常に難しい部分もある。
そしてこの手の日常系コメディの場合、なんといってもキャラクターがたっていないと、いくら軸がぶれるとはいえ話としても成り立たない。


で、そのキャラクターだけど、一人一人がかなり個性派で、それぞれがそれぞれの役割とか落としどころをわきまえているところが好感触。
主人公は唯みたいな天然というのもポイント。
そしてなんといっても手芸部部長。
この人はかなり面白いキャラクターだ。
そのほかにツッコミ役に年中エロ妄想モード状態の美少女など、キャラが分けられている。


しかしながら、そのうちのエロ妄想美少女の出番と、陸上部との掛け持ちがある2年生の一人は、あまり会話に絡んでないような印象で全体的に薄い感じがする。
手芸部5人が同等に目立ち、同等にしゃべり、同等に活躍する事がこの作品の売りになると思うので、メイン5人のうち誰か一人でも希薄さが出ると、キャラ同士でバランスを取り合う作品としては致命的になるかもしれない。


それから根本的なことだけど、なにぶん話に筋は合っても軸というものが希薄。
なので起伏が激しい動きのある作品を好む人には、根本的に向いていない。
あの軽音部5人の女の娘が主役の作品が好きな人には、よくあう作品かもしれません。


総合評価:★★★☆