ライトノベル『カレイドメイズ 半熟姫のあかるい国家計画』

耳鳴坂の人の新作です。
今度は魔法学院の生徒と、過去に滅んだ王族の生き残りの姫様の物語。
なんか、遺跡とか生徒達の遺跡発掘の格好などからインディジョーンズを思わせるが、実際にはありがちなラノベです。


主人公カイルは滅んだ王国エルヌーク文明と、そのエルヌーク王国で使われていた魔法を研究する学生であり、且つその魔法を使う能力も群を抜いて優秀な魔法使いでもある。
カイルが2000年前に滅んだ王国の遺跡を発掘調査している最中に、偶然にも2000年の眠りについていた王族のネーフェオリー王女を起こしてしまった。
起きた王女は愛する家族も国も民も失った上に、全く知らない時代、世界に一人残ってしまった現実を知って深く悲しみ・・・というところもあったのだが、この王女様それだけでへこたれるほど弱くはなかった。
現実を知ってもどうにもならないと理解した王女は、未来に向って力強く一歩一歩進むのですが、その第1歩がタイトルにもなっている『あかるい国家計画』。
まずは自分を起こしたカイルを生涯の伴侶とし、子作りに専念して民族の復権
さらには国家復権を行おうと、カイルに迫ります。
それはもう、今話題の草食系男子と肉食系女子の戦いがごとく。
この作品、昨今のラノベにありがちなハーレムがない。
ひたすらネーフェオリー王女に迫られ、攻められ、その度にヒィヒィ言いながら逃げ回る、角川スニーカー史上でもかなり珍しい部類の最強へたれ主人公ではないかと思う。
そんなヘタレな主人公と、民族の血を絶やすべからずと奮闘するネーフェオリー王女のやり取り。
カイルと同じ学院の仲間。
性格がいいのか悪いのか和からないが、浮気性な能天気研究科のカイルの父親。
カイルの回想でしか出てこないが、その父親をこれまた強権でコントロールしようとするカイルの母親。
ネーフェオリーを巡って暗躍する謎の組織と男。
色々混じって、物語を面白くしています。


また、どうもカイル自身にもなにか秘密がありそうな予感。


前の耳鳴坂もよかったですが、設定に縛られイマイチ広がりを見せられなかったのと違い、こっちはまだ色々やれそうな分だけ自由度があるかな。
これからも期待いたします。


総合評価:★★★☆