今回の地震で改めて威力を発揮した鉄道

今回の地震ではその被害が大きく報道されていますが、今後の問題は生き残られて困っている人たちへのケアに移るかと思われます。
そのケアをすることに関しては精神的な面と物理的な面、両方にあります。
そのうちの物理的な面ですが、これはたとえば物資の輸送と言う面において交通の寸断が巻き起こした物資不足ということが上げられます。


今回打撃を受けた常磐道はもとより、一般国道も一部で走行不能東北道は緊急車両用の交通路になりました。
そんな中、鉄道が大きく役に立つときが現れた瞬間があります。

「命の列車」北陸線行く 東日本大震災 物資積み被災地へ
JR貨物 神奈川から日本海側通り東北へガソリン輸送

被災地に向けて救援物資を運ぶ貨物列車が運行を始めました。
東北線は相変らず走行不能ですが、比較的損傷が軽微だった北陸、信越、羽越、奥羽のいわゆる日本海側縦貫路線周りでの輸送。
線路が生きていたために出きるこの輸送。
特筆するのはその輸送力でしょう。


北陸線の救援物資列車はコキと呼ばれるコンテナ貨車。
このコンテナ貨車、1両に5tコンテナを5個も載せられる。
5tトラックの5台分、最大サイズの10tトレーラーでも2.5倍の積載量。
それが何両連結されたかは分からないが、予想では10両以上と推測します。
つまり10tトレーラーの25倍もの輸送物資を、たった一両の機関車で被災地に運びます。


神奈川から向ったガソリン貨物列車はタキと呼ばれるタンク貨車を18両連結してます。
貨物のタンク車タキ1000形はだいたい45t積載。
ガソリンの比重は0.86ぐらいなので、40,000リットルは軽く入ります。
最大サイズのタンクローリーが26,000リットルなので、これも約2倍くらい。
それが18両ですからタンクローリー30台分くらいの輸送量ですね。


これらがたった一両の機関車の牽引で青森まで引っ張っていけるということです。
ガソリン列車は画像がないので分かりませんが、物資輸送列車は国鉄時代に作られた古豪EF81電気機関車
画像が粗く番号が確認できませんでしたが、おそらく1987年製の400番台と思いますので、25年戦士ですね。


鉄道は人を快適に速く正確に運ばれてナンボのものとかなっていますが、本来はこういった重量物を大量に一挙に運ぶのが役目です。
鉄道はこういった大量重量物を遠方に運ぶのに、もっとも効率的な輸送機関なんです。
本来の鉄道の役割を果たす事になった今回の救援列車たち。
新幹線の完成で廃止や第3セクター化し、途切れ途切れになっている鉄路ですが、寸断されすぎていざと言うときの鉄道が役に立たなくなる前に、もう一度改めて考え直す事も必要かもしれない。
震災復旧、復興後に落ち着いたら、ここら辺も少しは考えるべきなのでしょう。