ラノベの基準は和田アキ子

みなさんもご存じのとおり、平野綾さんが和田アキ子さんの某番組に出演した時に『涼宮ハルヒ』シリーズが全否定されたことは記憶に新しいと思います。
この言動はどちらかというと、私個人としても和田アキ子さんの方が正当かな*1とは思います。
正当・・・すなわちアニメ、マンガそしてラノベも日本ではごく狭い範囲内での認識しかされていないジャンルであるということですが、ここでは言動に対して否定肯定するわけではありません。
じゃぁ、一体何を書こうかというと、じゃぁラノベは一体どのくらいの範囲の認識なんだろう?ということを考えてみたいと思います。
まぁ、いつもの私個人の客観的な見解なので、鵜呑みにしないでくださいとだけは書いておきます。


ではどうやってその範囲を絞りだすのか、以下のことから順次推測していきます。


1.当のハルヒ売り上げ
まずはその否定されたww『涼宮ハルヒ』ですが、最近発売された驚愕のあとがきでも、角川公式でも1650万部と書いてありました。
これは角川側からの発表なので、純粋に売れた数かどうかは分かりませんが、今はこれを信じることにします。
さて、現在の日本の総人口がおよそ1億2千万人です。

120,000,000÷16,500,000≒7.27

単純計算では日本人全員のうち、最低でも8人に1人の割合でこの作品を読んでいることになります。
しかし、角川の1650万部はシリーズ累計ですから、延べ人数です。
実際にはシリーズ全部を持っている人がかなり多いわけですし、実際に私もこのシリーズ全部持っています。
涼宮ハルヒシリーズは現在驚愕後篇までの間に11作品*2が出ているわけです。
仮に全員が全11冊を持っていると仮定しますと、涼宮ハルヒシリーズを読んだことがある人は約150万人になります。



2.デュラララ
2010年アニメ化され一挙に人気に火が付いた本作品ですが、新刊当初はそうでもなかったようです。
この作品、今までのラノベの中でもオリコンに載ったランキング期間が一番長く、オリコン上では累計が最も多い作品です。
ちょっとデータが古いですが、アニメ放送後オリコン再ランクインしてから、最大累計が分かる範囲で28万部。
これは1巻だけの話ですから、仮に最新刊の8巻までとすると単純計算で約240万部くらいの売り上げがあると推測します。
ちなみにデュラララ読者も先のハルヒと同様の考え方をすると、純粋な読者は28万人ということですね。


3.禁書目録
このシリーズは元々人気があります。
新刊発売当初はオリコンでも10万部は軽く超えるようになりました。
しかし、この作品ですが再ランクインがないんですね。
アニメも比較的成功を収めている部類ですし、番外編の超電磁砲も人気があり相乗効果で禁書目録もアニメ放送後は再ランクしてもいいのではないかと思うのですが。
再ランクインがないということは30位以下ということで、最近のオリコン敷居が8000部くらいですから、少なくともランク外になってからはそれ以下でしか売れていないということですね。
そして最新のランクで分かってますが、『涼宮ハルヒの驚愕初回限定版』が約40万部になっていますし、すでに今週はランク外に行ってしまいました。
先ほど角川の数字で出したのが150万人(部)でしたが、なんかこうして見ると似たり寄ったりの数字ですね。
ここにオリコンと角川の数字のマジックがありそうですが、きっと詳しい人がいると思いますので、ここでは書きません*3


さて、ここで考えたのですが、このあたりにラノベの限界があるのではないかと推測します。
アニメが始まればアニメ視聴者で、原作知らない人が『原作はどんなものだろう?』と興味を持つのは当然の人間心理です。
しかしそれでも禁書目録の再ランクインは無かったですし、デュラララのラノベ史上まれにみる再ランク後の累計積み上げ。
ここで考えられるのは

1.元々人気がある作品はアニメ化後も再ランクしない?
2.元があまり売れていないと、アニメ化後に爆発的に売り上げが伸びる

たとえば『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の第1巻も新刊登場時は約10,000部で再登場後は22万部まで行ってます。
毎回数字を稼ぐと言えば、角川ビーンズの彩雲国シリーズは新刊刊行後10万部近く行って、ランク外に行くともう戻ってきません。
なんとなく、法則があるようでないようであるようで・・・。
ということで、作品的に1冊あたり40万部超えるのはかなり難しいのではないかと推測します。
ラノベの場合続刊が多いので、固定読者がついたと仮定すれば、1作品当たりでも40万人。
禁書目録も彩雲国も1冊あたりこのあたりの数字でMAXなのかなぁと思ったりもします。
それを考えると短期間で40万部弱行ったハルヒは破格の売り上げなんでしょう。


一般書籍の場合、ツボにはまれば100万部軽く超えるのもありますから、それを考えるとやっぱりラノベはまだまだ少数範囲での認識しかなさそうです。


4.具体的にどのくらいの数字なんだ?
しかし、1作品MAXで40万人の読者がいたとしても、ラノベハルヒを知っている知らない人間の数となれば、もう少し広がるとはもいます。
ここに挙げた作品で、禁書目録、デュラララ!、彩雲国は実際に私は読んでいませんしね。
ということで、ここも強引に単純計算でやってみようかと思います。
今までまとめた年間ランクでこういうデータがありました。
ラノベラノベ以外の総合売り挙げ』

2010年 ラノベ25.4%/ラノベ以外74.6%
2009年 ラノベ21.0%/ラノベ以外79.0%

2009年以前はデータがありません。
これで日本国民の25%がラノベを知っているというのはあまりにも早急すぎますので、意地悪で強引な考え方でアニメにくくりつけてみようと考えます。
最近のラノベ原作アニメはハルヒ新アニメをのぞくと、ほぼ東名阪限定+ネット配信での構成がほとんどです。
ということで、ラノベという存在を知っている人が東名阪に集中しているとかなり強引な解釈でやってしまいます。

関東3500万人+中京1200万人+関西2200万人=6900万人

そして、これまた強引ですが日本の人口分布から、主力読者が10代〜20代、これに歴史的要素をプラスしても現在40代前半までがラノベの存在を知る限界世代と考えます。
日本国民1億2千万人のうち、15歳〜44歳は約5千万人で割合にすると41%。
これだけの人が東名阪でどれだけいるかということになると、約2800万人。
そして、これに先ほどのラノベの売りあげの25%を掛けてみると約700万人。
かなり強引な計算で出した数字ですがこれが日本国内でラノベを知っている最大人口かもしれない・・・ということになりました。


もちろん東名阪以外にも沢山のラノベ好きな方がいるかと思います。
もっと年上の方もラノベは読むかもしれませんし、最近は日本も過疎化が進んで、地方の人口分布は必ずしも都市部と同じとは限らない。
でも、この数字700万人を超えて、ラノベの存在が知れているかどうかは難しいのではないかと思います。
よくても1000万人なのかなぁ。
実際に私より若い人もほとんどが『ライトノベルってなんですか?』と聞き返されますし・・・。


日本の人口が1億2千万人。
そのうちの700万人だったら、確かに和田アキ子さんの言っていることが正当なのかもしれない。


そして仮に700万人相手のラノベ産業だとすると、出版社の人もかなり苦労しているんだろうな。
しかも、どう頑張っても現状40万部で頭打ちになりそうだと考えると、ラノベはまだまだ小さな産業ということになるのか。
おそらくは出版社は多少なりとも自覚はあるのかもしれないし、だからこそ裾野を広げようと拡販もやっているんでしょうし沢山の営業活動や宣伝活動、もしくは裾野を広げる画期的な活動もやっているでしょう。
実際に、オリコンランキングをラノベ作品がにぎわす回数も増えたし、部数も上昇してきてはいます。
歴史もあって世代間を超えて、この存在を知る人数も今後は増えていくことでしょう。


そうなれば和田アキ子さんも『ああ、ハルヒね。あれは面白いよね』という日が来るかもしれない。


当人からそういう言葉が出た時、ライトノベルはもっと大きなものへと進化しているということになるのでしょう。
ということで、出版社の方々は和田アキ子さんに『あの作品面白いよね』と言わせるように頑張ってくださいww


*1:否定時の口調は悪かったですが、彼女は元々そういう性格でしょうから

*2:憂鬱つばさ文庫と観測、S-BLUEは除く

*3:オリコンは書店の売り上げで、出版社は出荷部数と聞いたことがある