僕は君たちほどうまく時刻表をめくれない

僕は君たちほどうまく時刻表をめくれない (ガガガ文庫)

僕は君たちほどうまく時刻表をめくれない (ガガガ文庫)

さて、ラノベにしては珍しい鉄道のラノベ
ということで、今回は読者ではなく"テツ"としてこの作品を読んだ感想を。
まず、鉄子は最近結構いるようですが、薀蓄(テツのね)を披露する女性はまずいません。
うんちくを披露したがる人って、基本男しかいないような気がします。
まぁ、そういった女性もいますけど、圧倒的に少ないと思うのですが。


作品としては至って普通のラノベです。
帯には『ボーイ・ミーツ・鉄子』と書いてありますが、私からすれば普通の『ボーイ・ミーツ・ガール』でしたね。
ただ、題材がテツなだけに、内容はのほほんとしたもの。
ちょっとしたハプニングもあったけど、それも日常的な物。
異能やらバトルとは無縁の物です。
宮田さんがなんか時刻表をぱっとめくりますが、JTBの時刻表であればあれは基本スキルでしょうww
著者はできないと書いてありましたが、おそらくはイラスト担当の松山せいじ師ならば基本装備じゃないかな?
時刻表検定1級あれば、あのくらいのことはできるかと思います。
私も検定もっていますので、似たようなことはやっちゃいます。
検定はJR時刻表だけど、やっぱりJTBがいいね。


キャラに関してですが、ヒロインの美優は鉄の見本となる人なんで、結構濃いめです。
とにかく、私でもちょっと"引くぞ"と言わんばかりの鉄用語連発。
なので、対するサブヒロインの宮田くれあはおとなしい娘。
性格が異なる二人の美少女を据えて、鉄道用語が紙面狭しと飛び出すのは、今までにはないジャンルですね。
二人の残念な美少女と相対するのは、この作品の主人公"栗原駿"
これまた典型的なラノベの主人公で、至ってごく普通の存在。
しかしながら、私からすれば基本的な鉄要素はばっちりあると思う。
彼女たちに触発されて、鉄になるのも時間の問題かな。


至るところに鉄まんさいの作品でしたが、鉄からすれば普通に思えてしまいます。
逆に非テツ*1にとっては、ある意味、異能バトルに近い異空間に入ってしまったかのような不思議な空間でしょう。


クライマックスの乙女駅は鉄や地元民では誰もが知っている、有名スポット。
実はここを利用した作品がもう一つあります。

高原鉄道殺人事件(ハイランド・トレイン) (祥伝社文庫)

高原鉄道殺人事件(ハイランド・トレイン) (祥伝社文庫)

こちらは乙女駅を利用したトリックです。
かの西村京太郎氏の手で書かれた作品。


鉄道題材のラノベ作品、今後どういう方向に進むのでしょうか。
今後も期待します。


この作品、また別の視点で解説をしたいと思います。

*1:鉄道マニアではない人のこと