九段下の壁撤去

地下鉄九段下駅の“バカの壁”撤去 都営・メトロ乗り換え時改札不要に(Yahooトピックス)

都営新宿線半蔵門線はこのあたりほぼ並走していますが、九段下駅はホームが壁一枚で仕切られていて、それを撤去しスルーにすることで乗り換えをスムーズにするのがこの壁撤去の目的。


さて、それにより階段を使っていた乗り換えが楽になりますので、それでいいのですがこの話はまだ先があります。
外国人はもとより、日本人でも地方の人はけっこう知らない。
そして東京の人でも、あまり使わない人は地下鉄に関して知らない事実があります。
それは東京には2つの地下鉄事業者が存在することです。
一つは東京都交通局、そしてもう一つが東京地下鉄株式会社


この2事業者、両方とも私企業ではないところも大きな特徴。
東京都交通局地方自治体の交通事業というのは名前でわかりますが、株式会社を名乗っている東京地下鉄も私企業ではありません。
社長がきちんといますが、実は経営上のTOPとして社長の上に国土交通大臣がいます。
これは私企業では普通あり得ません。
東京地下鉄は一般の私企業、いわゆる会社とは違う法律で運営されている特殊会社という組織になります。
今も株に関しては東京都と国が保有する特殊な会社です。


どうして2つの事業者が東京に存在するようになったのかはまた別に機会に書くとして、とにかく東京には2つの地下鉄が存在します。
そもそも、これが今回の壁を作った原因です。
先にも書いたとおり、壁は"都営"新宿線と"東京メトロ"*1半蔵門線のホームが隣り合っているために、間に設置されたものです。
つまりは異なる事業者間での乗り換えに際して仕切るのはある意味当然のことです。
つまり"本来なければいけないもの"を壊したということになります。
たとえば、多摩地域には小田急永山京王永山という駅がありますが、この両駅がホーム接していたら、当然壁は作るかと。(実際には離れているので接していない)


今回行ったのはこの2事業者のホームの壁を撤去する以上に、この2事業者の組織としての間にある壁を撤去する第一歩となるかもしれないということです。
それは東京という街の足として機能する地下鉄が、2つにわかれていることに対して不便をこうむる利用者の利便性を上げようとする、東京都の動きにあわせたものです。
今の都知事である猪瀬氏が副知事時代から運動していることで、この話に関しては副知事時代にすでに都とメトロ間で合意済みの案件です。


このほかに春日駅後楽園駅のスルー化(駅を通り越してお互いの出口から出られる)。
近いのに全く別の駅扱いだった、日比谷線秋葉原駅と都営新宿線岩本町駅を乗り換え駅として認定(メトロと都営地下鉄を乗り換えする場合、1回に限り運賃は70円割引に、定期券も相当分の割引になる)
この点も、猪瀬氏の働きで行われたといってもいいでしょう。


そして、猪瀬氏をはじめ東京都は将来的に、2つの地下鉄事業者を1つにしたいという考えがあるのは事実です。
その第1歩がこの九段下駅の壁撤去に始まる、2事業者間での利便性向上になります。


ここまで書いたところでは、いいことばかりですねww


実際にこれらの行動に関しては利用者視点でのサービス向上ですが、では将来の最終目標である2事業者の経営統合はどうなるのか?
その点についてはまだ先のことなので何も書かれていませんが、2事業者の統合が本当にいいことなのかどうかは、これらの話とは別の次元になります。


統合するにしてもいい話だけではないはずで、数年前に一度こんな日記を書きました。

久々に鉄道ネタ。記事を鵜呑みにして肝心なことを見逃さないように私自身が指摘します。

この日記を書いてからずいぶん経っていますが、この内容の指摘に関する問題点はどうとらえているのか、それに関しての公式な見解などはいまだに東京都から出ていません。
当時副知事だった猪瀬氏も都知事になり、立場上もっと入り込めることもあると思います。
東京都内で統合に向けた組織編成を考える委員会みたいなのがあるようですが、これには東京メトロ側の人は入っているのでしょうかね。
いずれにしろ、今後も統合する気があるのであれば、節目節目で公式発表をしていかないと、マニアとかからは不満がwww


今はいい状態の2事業者のサービス統合ですが、今後の動き次第ではきな臭くなってきます。
猪瀬氏は都民のためを思ってやっていたとしても、東京都全体としてはどうなんだろうというのもありますね。