マンガ『鉄娘な3姉妹』01についての解説

さて、先ほどはマンガそのものについて感想を述べましたが、ここからは鉄道マニアとしてツッコミドコロを述べたりしたいと思います。
それからマニアでない一般の人でも楽しく読めるように、鉄道そしてマニアの生態wwの専門的な部分について補足や解説をしていければと思います。
まずは、専門用語の解説からですが、これを知ってから物語を読むともっと味わい深くなるのではないでしょうか?


P.6 美唄『私としたことが今月の『グッタイム』の投稿で笑わされるとは』
グッタイム
元ネタは『グッたいむ』でしょうね。
老舗JTBの大判時刻表に掲載される読者投稿コーナーで、時刻表のページの両隅欄外に掲載されている超短文形式の、まぁ言ってみればTwitterみたいなもの。
文字数などに制限はありませんが、何分隅のスペースに掲載されるのでそれほど多くの文字は書けません。
掲載されいるのが掲載されているものなので、当然ながらその投稿者もその筋の人が圧倒的。
そもそも、大判時刻表はJR弘済会が発行するJR時刻表と、交通公社⇒JTBが発行する時刻表があるが、マニアは古くから使っているのと、このような投稿ネタを掲載するJTB時刻表を好む性質があるのです。
実際に統計をとったことはありませんが、マニアはこぞってJTB派が多いと思います。
もちろん美唄JTB派ですね(版権の都合か、物語はJIBとなっている)
JTB時刻表にはぐっタイム以外にも、時刻表のおしまいの方にマニアが出す『鉄道クイズ』や、少し文章長めのコラムコーナーもありました。
実を言うと、昔に採用された経験が私にはありますww


P.11 備後『EF66だぁ〜〜』
EF66
国鉄時代に作られた電気機関車
JR貨物が最近作ったEF200などが登場するまでは、国内最大の馬力を持つ電気機関車でした。
EF66の記号の意味は

E:電気機関車であることを表す。
ディーゼル機関車なら"D"、蒸気機関車なら記号なし、ハイブリッド機関車なら"H"となる


F:動輪の数を表す。
Fはアルファベットの6番目なので、動輪は6軸あるということ。
4軸なら"D"、5軸なら"E"、8軸なら"H"


数字:速度区分と電化方式を表す
最高速度85km/h以下
10〜29:直流電気機関車
30〜39:交直流電気機関車
40〜49:交流電気機関車
最高速度85km/hを超える
51〜69:直流電気機関車
70〜79:交直流電気機関車
80〜89:交流電気機関車

EF66は最高速度85km/h超の直流電気機関車66番形式で動輪6軸タイプということになります。


P.12 美唄『トミックスやKATO』
『トミックスやKATO』
どちらも鉄道模型ブランドの名前。
KATOは関水金属鉄道模型ブランド名称。
トミックスは日本では大手のおもちゃ会社『タカラトミー』の鉄道模型部門が独立*1したもの。
おもにプラレールなどを手掛けているタカラトミーも、昔はNゲージを主体とした鉄道模型部門を持ってました。
それが『トミックス』というブランド名称です。
今では子会社の『トミーテック』に業務移管されています。
ただし、販売はタカラトミーなので、無関係ということではありません。
タカラトミーの一派と思ってもいいでしょう。
この2社以外にカツミ、天賞堂GM、エンドウ、マイクロエースなどがありますが、日本はこの2社が圧倒的に強いです。
その理由はこの2社の特徴にありまして、両社とも完成品を扱うということと、車両だけではなく線路、それに付随する電気駆動システム、駅などの総合システムで販売しており、初心者がまず手を出すのはたいてい2社のどっちかです。
他の会社は車両だけがほとんどで、玄人志向の会社が多いのです。
鉄道模型はトミックスかKATOで入門し、そのあとGM、カツミなどに流れるというのが一般的な模型テツの流れですね。
ちなみにフルスクラッチは模型用語ですので、ここでは割愛します。


P.20 父親『美唄ダイヤグラムが読めるのか』
ダイヤグラム
ダイヤグラムとはDiagramのことで、一般的に略図や図表などという意味になります。
鉄道におけるダイヤグラムは列車運行図表になります。
とりあえず、私が書いた個人的なものを

これは私が作った、5月16日の前の日までの京浜急行ダイヤグラムです。
縦軸は駅名になってますが、本当は距離によって決まります。
横軸は時間軸なります。
下から右斜め上にあがっていくのが、縦軸の上の方にある駅に向かう列車で、上から右斜め下に下がっていくのが縦軸の下の方にある駅に向かう列車です。
そして傾きが鋭角な列車ほど高速ということになります。
こういった線のことをスジを引くというんですが、鉄道会社にはこのような運行図表を作る専門のスタッフがいまして、実際にこういった図表を作成します。
なので、マニアからは"スジ屋"と呼ばれています。
これを引いた後に数字の羅列にしたものが、一般の方でも見る時刻表ということになります。
ちなみに時刻表は素人でもわかるように図表化したものですので、これが読めないとなると鉄道会社側としてはお手上げです。


P.80 浜川崎駅の駅舎が別々
浜川崎駅南武支線鶴見線は駅が別々なんですが、これはこの2路線が元々違う鉄道会社だったために起こった現象。
鶴見線南武線も元々は私鉄だったのですが、買収で国鉄になったのですね。
今は同じJR東日本の鉄道なので、駅は別々でも乗り換えは通算になります。
なお、浜川崎駅鶴見線南武線無人駅です。
鶴見線に至っては、鶴見駅以外は全部無人駅です。


P.89 海芝浦駅
この駅は乗りテツでは特に有名な駅です。
何が有名なのかというと、駅構内が東芝の敷地内にあって東芝の関係者しか降りられないのです。
駅の出入り口には駅員ではなく、東芝の警備員が立っており、入門をチェックしています。
しかしながら、この駅はホームそばがまさに海という絶景のような駅で、訪れるマニアも少なくありません。


P.100 VVVFインバータ
そもそも、この言葉は3つに分かれます。
VV+VF+インバータですが、インバータは鉄道ではなく電気の専門分野になります。
インバータは直流を交流に変換する回路の一般総称です。
日本国内の電力は基本交流で作られて送られます。
しかし電車の黎明期のころは直流モータしか存在せず、電化も交流⇒直流への変換が必要です。
なので、電車は直流なので電車で交流⇒直流にするか、変電所で直流ニ変換して電車に直流を送るかが電化の大きなポイントです。
一般的に大電力が必要な新幹線や、車両が少ないローカル線は交流電気を使うことが多いですが、大都市は電車の本数が多くなるため、変電所で直流にして直流電車にするのが主流です。
最近は発熱と電気消費で難がある直流モーターではなく、三相交流誘導電気の発達のおかげで、三相交流誘導電気モーターを使う電車が増えました。
しかし、発電所からの商用電気を三相交流誘導電気モーター用の駆動電源に変換する装置は、まだ電車搭載レベルの域にまで達していないことと、変電所に直流を送るシステムが大都市圏を中心に発達してしまったので、今の電車は商用交流⇒直流⇒三相交流という2回の電気変換をしているのが主流です。
その直流⇒三相交流を行うために使われるのがVVVFインバータ制御方式です。
ということで、長くなりそうなのでこちらを参照してみてください。

昭和生まれのVVVF電車の旅〜関東編〜


3番線(第3話) いすみ鉄道小湊鉄道
両社とも千葉県の房総半島にあるローカル私鉄。
いすみ鉄道小湊鉄道は上総中野で駅がつながってます。
今回この漫画では取り上げられてませんが、この2路線実は上総中野を終点にするつもりはなかったのです。
ということで、まずは地図を見てもらいましょう。

これは、千葉県の房総半島の一部の地図ですが、赤い線と青い線があることに気がつくと思います。
青い線が『いすみ鉄道』で赤い線が『小湊鉄道』です。
赤い線と青い線が交差するあたりが上総中野です。
よくみると上総中野から、赤い破線と青い破線があることに気がつくと思います。
まず『小湊鉄道』ですが、この会社の社名は千葉県の天津小湊町(合併されて消滅。現在は鴨川市)にあるJR東日本(当時は鉄道省)の安房小湊までの計画があった鉄道でした。
そのため社名が小湊鉄道なんですね。
赤い破線は適当に私が引きましたがw将来的には安房小湊まで伸ばすつもりがあったようですが、上総中野で断念しました。
一方の『いすみ鉄道』ですが、こちらは鉄道省の木原線として開業。
後に国鉄になり、第1次特定地方交通線として廃止の対象となったが、JR東日本を経て第3セクターいすみ鉄道』として再出発しています。
実はいすみ鉄道になる前のJR東日本まで名乗っていた『木原線』というのは、木更津と大原と言う意味で、地図の青い破線があると思いますが、これが上総亀山まで延ばす予定があった名残です。*2
上総亀山からは、木原線となるはずだった木更津からの路線、JR東日本の『久留里線』と一体になる予定だったのです。
結局こちらも上総中野で止まってしまいました。
それで現在に至るのです。


以下続く予定・・・・?

*1:独立したのはタカラトミーになる前のトミー時代

*2:これも私が適当に引きましたww