JR東日本 12月4日ダイヤ改正概要 南武線の快速ってどうなの?

先ごろJR東日本から2010年12月ダイヤ改正についてのお知らせが出ました。
メインは東北新幹線新青森延長による新幹線ダイヤと、その接続に関するものです。
ですが、それとは別に興味ある項目が


南武線2011年3月改正


快速運転開始!!


12月の改正概要に載っていましたが、ちょっと遅れること2011年3月に南武線で快速が運転開始となるようです。
個人的に南武線に快速はどうかなと思っていましたので、これにはびっくりです。
まず南武線には33年前のことですが、快速が走っていました。
これが非常に短命で終わったことは、世代が古い方なら知っていると思います。
では、この快速と今度の快速どう違うんだろうということで、今度の快速をいろいろな面からみて考えて見ようと思います。
それにより、JR東日本がどんな意図でこの快速を設けたのか私なりの考えを。
なお、ここに書いてあることはあくまでも私個人の主観で個人的な妄想半分ですので、絶対にあっているとか、間違っているということはありません。
人それぞれでいろいろな考えがありますので、あくまでも参考にする程度にしてください。


まず、今回の快速の概要を観ていきます。
1)停車駅

今回の快速の停車駅ですが上記のようになっております。*1
33年前の快速の停車駅より増えています。
そして、33年前は『登戸-川崎』の区間運転だったのですが、今回は登戸以遠にも各駅停車として入線します。
さらに、武蔵小杉-武蔵溝ノ口は各駅に停まるという、一見しただけでは中途半端な快速です。
この停車駅が早くも議論を呼んでおり、一体何でこんな快速停車駅にしたのかJR東日本の意図がわかりません。
ですが、この停車駅にはいろいろ意味がありそうなので、後で私個人の考えを書いておきます。
2)時刻

快速が走るのは11時ごろ〜15時くらいまでの平日、休日。
いわゆるデータイムと呼ばれる時間帯です。
上記にJR東日本が発表したダイヤの一部の駅のタイムテーブルがあります。
下りが武蔵小杉駅、上りは登戸駅の時刻表です。
33年前の快速は同じくデータイムのみで1時間に1本の設定でした。
それと比較すると本数が多いです。
3)ダイヤ
JR東日本の発表した時刻表と、現行のダイヤにおける電車の所要時間を元にダイヤグラムを作ってみました。
まずは2010年10月1日現在の12時〜15時くらいのデータイム時刻表です。

現在の南武線データイムは、川崎-立川を通し運転する基本スジだけです。
種別はすべて普通列車の各駅停車のみで、全区間に於いて10分刻みの完全なパターンダイヤとなっています。
なお、色別になっているのは車両運用で表わしているためです。
南武線電車区武蔵中原電車区ですが、ここに所属する鶴見線205系3両編成と、尻手分岐の支線用205系2両編成をのぞいた6両編成が南武線の川崎-立川で使われます。
その編成の数は35編成。
調べた限りでは、平日朝ラッシュ時の最大運用数が32本と思われるのですが、ここは自信がありません。
上記の作成したダイヤグラムでは、川崎-立川を54分で走破しています。
川崎と立川で約5分間の折り返し時間をとっており、立川、川崎どちらの駅も2編成が滞在できるホーム数がありますが、このデータイムでは1本の使用で賄えるようになっています。
よって、このダイヤを満たす最低運用本数は12編成となります。


続きまして、先ほどのJR東日本公式発表の時刻と先の現行南武線ダイヤグラムから、快速運転後の予想ダイヤグラムを作成しました。

赤い線が今回から走ることになる快速のスジ。
青い線が『川崎-登戸』区間運転の各駅停車。
黒い線が『川崎-立川』の各駅停車になります。
快速は『武蔵小杉-武蔵溝ノ口』が各駅停車なので、ここは現行の各駅停車と同じ所要で書いてます。
武蔵小杉-鹿島田と鹿島田-川崎ですが、尻手付近の急カーブと向河原-武蔵小杉のカーブがあるため、ここの減速が激しそうなことから、この区間ではせいぜい『1分〜1分15秒』位の短縮と見込んで合計2分15秒程度の短縮。
残りの2分以上の時間を、武蔵溝ノ口-登戸で短縮すると予想しました。
これで合計5分の短縮としてます。


では、これを車両運用数で表わすとどうなるか。

これが一つ前のダイヤを車両運用別に色分けしたもの。
結論から言いますと最低運用本数は14編成となり2編成増加しました。
ですが、このダイヤ編成には結構苦労したと見えます。
JR東日本側からすれば車両運用UPは、そのまま経費増加になります。
できる限り編成増加は抑えたいところでしょう。
この運用では14本となってますが、立川での折り返し時間が2分しかとってないこと、登戸⇒川崎の区間列車は必ずしも川崎⇒登戸という折り返しにならないこと。
快速が立川、川崎の両駅で折り返す場合は必ずしも快速ではないこと。
極論で言うと、快速は終点での折り返しは各駅停車立川行、川崎行になっています。
唯一不変なのは、登戸止の列車はそのまま川崎行として折り返します。
ただ、登戸駅で20分ほど折り返し時間とるんですけどね。
これを折り返し時間をもっと取ったり、快速は快速折り返しとかの運用にすると、単純計算であと3編成追加して合計17編成位で回さないといけないことと、川崎駅の2本のホームを埋め尽くすだけでなく、川崎手前で3本目の電車がホームに入れなくて停車することになります。
効率が悪いので、終着駅では種別や目的地関係なく折り返すのでしょうね。
ちなみに、これが上記ダイヤグラムから抜粋した主要駅の時刻表(合っているかどうかは保証はしないよ)


4)個人的見解
まずこれをご覧ください

2009年度の南武線の各駅改札通過人員です。
川崎は東海道線、立川は中央線、青梅線も含めていますので多いです。
この両駅以外では、武蔵小杉、武蔵溝ノ口、登戸がほぼ同数で利用者が多いことになります。
この3駅はいずれも乗り換え客が多いことから、この人数になっています。
南武線というのはこの乗り換え駅と間にある小駅との短距離乗車が多い路線になっています。
なので、33年前の快速の停車駅では本来の南武線の乗客の流動にあっていなかったのです。
なので短命に終わったと思われます。
それから登戸を境に立川側と川崎側で極端に利用人数に差が出ます。
この感じからすると、登戸を境に川崎側は立川側より2倍以上もの人が利用していると見れます。
さらに武蔵中原武蔵新城の乗降客の人数がとても多いことが分かります。
この両駅は乗り換え路線が無いため、改札通過人員=駅利用者になりますが、この両駅の利用は府中本町駅利用者よりも多いことが分かります。
もっとも府中本町は改札内乗り換えの武蔵野線との乗り換え客をカウントしていないので、実際にはもう少し多いのでしょうが。
さらに武蔵中原武蔵新城を利用する乗客は、半分以上が武蔵小杉か武蔵溝ノ口で乗り換える人だそうです。
なので、本当の短距離乗車が主流となってます。
また、快速停車駅になっている鹿島田駅ですが、ここはそれほど多くの利用者はいませんが、新川崎駅付近の元操車場を中心に大々的な再開発事業を行っており、今後は利用客が上昇すると考えられます。
そのため将来を見据えた停車駅となっていると思います。
以上から、今回の快速の設定の意図はこんな目的があったのではないかと推測されます。

1)登戸を境に必要輸送力が変わる
川崎-登戸は現在の6両編成6本/hourより、増発が必要になってきた。
そのため登戸を境に川崎-登戸を増発という形で快速を設定

2)無視できない利用者がいる、武蔵中原武蔵新城
この2駅の利用者が多いため、ここを停車させることにより、この2駅は実質の増発という形になる。
しかも武蔵小杉、武蔵溝ノ口までの客が主なので、この2駅に関しては乗車チャンスを6本/hour⇒8本/hourに変更という意味合いがある。

3)通し客の時間短縮による効果
実は立川-川崎の通し客も南武線ではそれなりにいます。
その客に対しては30分に1回の快速列車を利用することによって、5分ながら短縮効果があり、利便性のUP

こんなところが、今回の快速設定のねらいどころなのではないだろうかと個人的に思うのですが。


実際に不便になったと言えば、津田山-宿河原の各駅から登戸を通り越して立川方面に向かう客は、1時間6本の列車のうち2本が登戸で階段上り下りで乗り換えが必要になったことに加えて、乗り換えのための待ち時間が4分くらい必要なこと。
逆の場合、登戸でで同一ホームで乗り換え可能だけど、快速⇒各駅停車は2分のタイムロスが出ます。
あとは登戸-川崎の区間で快速が通過する駅では、今までの10分毎の運転に対して、7分だったり13分とかの不均等になること。
これ以外は概ねいい方向に向かうのでは?

*1:33年前は西府駅は未開業