鉄道でよくある質問

某質疑掲示板でよくある質問事項ですが、まぁ履歴を調べもせずよく『〜〜ですか?』という重複した質問は、多数の人から寄せられています。
よく見受けられる質問で、結構多いものに関してちょっと取りまとめてみました。


今回は第1弾として定期券に関する質問を特集してみたいと思います。


学割定期券
ハッキリ言ってしまうと「なにそれ?」としか言いようがありません。
古今東西どこを探しても、今現在学割定期券などという定期券を導入している鉄道事業者はありません。
したがって『学割定期券』などと聞かれても、分かるわけがありません。
まず学割ですが、学生ならば受けられる割引サービスです。
つまりは、何かに対して学生であることが証明されれば、元の値段から割り引くというのが学割です。
以下、定期券の基本ルールと絡む話になります。
この先を読むと学割定期券が存在しないことが分かるかと思います。


定期券の基本ルール
定期券の基礎というか、基本ルールですが、定期券唯一にして絶対のルールが、区間と経路を定めることです。
たとえば

新宿駅-東京駅

このような定期があった場合、どこで降りることができるのでしょうか?
とりえあず、新宿と東京は分かるのですが、その間は降りられないのでしょうか?
これこそが定期券のルールの絶対である経路の設定です.
定期券は乗降駅とその間の経路を指定して初めて発券される物で、一つとして例外はありません。
新宿-東京の場合、山手線で渋谷からぐるっと回るのもあるし、池袋からぐるっと回るのもあるし、中央線で行く方法もあります。
今回は仮に『新宿-東京』を中央線軽油に設定します。
すると乗降可能な駅は以下になります。

新宿-代々木-千駄ヶ谷-信濃町-四谷-市ヶ谷-飯田橋-お茶の水-神田-東京

ということになります。
これ以外の区間区間外になり、区間外部分の運賃が請求されます。


定期券の存在意義
定期券の存在意義は、同じ行程を何度も繰り返す行為に対して、区間限定で利用する区間に対して料金設定しています。
ということで、定期券はその存在自体がすでに割引なのです。
ということで、割引されている定期券を学生だからさらに割り引くという概念がありません。


よく勘違いされる通学定期券の存在
そして、もう一つ勘違いが多いのが通学定期券の存在。
これが学割と結びつける要素の一つですが、通学定期券は学生でなければ買えないと思っている人が多いからです。
さて、現在学生さんで通学定期を実際に使っている人もいるかと思いますが、通学定期は学生のために売られているものではありません。
正しくは通学している人のために発券される定期券が通学定期です。
ここまで書けばお分かりかと思いますが、通学定期は学生でなくても発券できるのです。
では通学定期はどうすれば発券してもらえるのか?
それは通学していることが証明されればいいのです。
世の中には通学しているのはなにも学生だけではありません。
そんな人でも通学する時に限ってはこの通学定期を発券してもらうことが可能な場合もあります。
代表的なところでは予備校生。
在学中の学生が通う予備校ではなく、浪人などでいわゆる本科性、全日科生とか呼ばれる予備校に通っている人ですが、この人達の身分は学生ではないんですね。*1
しかし予備校に通う行為は通学と認められる場合があるのです。
厳密には授業日数や、予備校自身が鉄道会社に学校である指定を受けて認可されることが条件ですが。


ということで学割定期券が存在しない理由というのが分かったかともいます。


通学定期券の区間延長、変更
これもよくある質問ですが、通学定期は先に書いたとおり通学するための定期券です。
したがってその目的から外れるような行為はできないのです。
通学定期の販売してくれる条件は2つの書類が必要です。

・学生証
・通学証明書

後述する一部の鉄道事業者をのぞき、これはどこの鉄道事業者でも同じです。
この2つが必要です。
そして通学定期を発券できる区間は以下のように決まっています。

自宅から学校の最寄り駅までの間の合理的な経路

この合理的な部分は鉄道会社によって表現がまちまちですが、すべての事業者で基本概念は同じです。
この区間と経路を認めてもらった通学証明書を持って駅に行って初めて購入可能です。
では、合理的なルートとは一体何か?
単純で鉄道会社側もしくは学校の承認者が納得してくれるルートです。
一番距離が短い、一番安い、一番時間がかからない・・・などの相手を説得できる理由があればいいのです。


これで通学定期券の区間変更や延長ができないというのがお分かりになったでしょうか?


通学定期券の年度跨ぎ
これは大体毎年2月後半〜3月、あるいは4月初旬に多くみられる質問です。
なにかというと、通学定期券は年度を超えて発券することができないのです。
年度・・・すなわち4月1日です。
1カ月通学定期券の場合3月2日3カ月通学定期券の場合1月2日6か月通学定期の場合10月2日以降に購入すると、定期の券面記載有効期限日付が4月1日以降の日付になります。
しかしながらこれができないということなのです。
これはなぜかということですが、学生の場合年度が分かると学籍を失う人が出てきます・・・いわゆる卒業ですね。
そのため、学生証の証明記載事項は毎年年度替わりの4月1日に切り替わるのです。
仮に卒業しない在校生だとしても、学校から『この学生は我が校に在籍する学生です』と証明してくれるのは、毎年3月31日までなのです。
次の日の4月1日以降の証明は4月1日になってから改めて証明されます。*2
そして学籍が証明されていることが確認できないと通学証明も出せませんので、自動的に容認された通学証明も毎年3月31日までしか保証されていません。
だから、通学証明と学生証がないと購入できない通学定期券は4月1日を跨ぐことができません。
4月1日以降は4月1日以降に改めて発行された学生証を使い、学校に新しく通学証明をもらってからでないと買うことができないのです。
これが通学定期券の年度跨ぎ不可能の真相です。


しかしながら、これでは純粋に在校生は不便です。
春休み中も部活ででてくる在校生はいます。
そんな生徒は学校に通うこともあるでしょうし、4月1日に改めて学生証が発行されても、実際には始業式が始まってから渡されるのが筋です。
それから新しく通学証明をもらっていたのでは、3月31日〜通学証明発行までは自腹で通学しなくてはいけません。
ということで、あまりにも不便だということで、最近の鉄道事業者は翌年度の4月30日までの通学定期券を発行してくれる事業者が増えています。
私が知るところでは京王、小田急、東急などはサービスとしてやっています。
4月30日までなら、新しい学生証をもらって通学証明を取る余裕があるという観点から始めた、鉄道事業者側の独自のサービスらしいです。


以上、定期券に関する主なところを挙げてみました。


ちなみに、世の中には通学証明が要らない通学定期を発行する事業者があります。
こういった事業者の場合、学生であることが証明されれば通学定期を発行してくれます。
しかも通学区間に関しては特に規定はありません。
このような定期だと、概念としては学割に近い存在になっています。

*1:予備校は一条校とよばれるものではないので、学生とはちょっと違うらしい

*2:つまり新し学生証が発行されるということ