鉄道でよくある質問その2『大回り編その1』

さて、いろいろな掲示板でいろいろな鉄道絡みの質問があります。


近鉄道がブームなのかよくわからないけど、鉄道に関する質問でマニアックなことを聞いてくる人が多いのですが、えてして鉄道に詳しくない人ほどハチャメチャなことを聞きます。
まぁそりゃ知らないのですから仕方がないのですけどね。
ただ、同じようなことを繰り返し別の人間が質問してくると面倒です。
その中でも今回は大回り乗車についてまとめてみたいと思います。
最近テレビや一般向けの雑誌、ネットでも紹介されて一般人でも興味を持つようになった項目ですが、簡単に書くと犯罪すれすれのグレーゾーン行為です。
なので、やるならばそれなりに知識を持ってして自己防衛しないととんでもないことになります。
ということで、大回り乗車というのがどんなものなのか、簡単ながらまとめてみました。


大回り乗車とは?
最初に一言で済ませます。
そんなものは無い!!
これがすべての答えです。
ですから、大回りが自分で説明できないと、これはれっきとした不正行為になってしまいます。
では、よく大回り、大回りなどと叫ばれていますが、一体どういうことなのか。
そもそもどうして大回りなんて言葉ができたのか?


元々は鉄道マニアのへ理屈から始まった
この大回り、当然ながら営業規則や法的にもそれを推奨、ましてや認める行為の根拠は存在しません。
ですので、さも大回りという行為自体がさも合法行為だと思って実行すると痛い目に遭うこともあります。
この言葉、元は鉄道に詳しい人が屁理屈で捻じ曲げたルールでできているのです。
そのルールは旅客営業規則第157条第2項『選択乗車』に関する規則です。
その内容ですが

普通乗車券又は回数乗車券にあっては、そのエリア内に限り、運賃計算に用いた経路(券面表示経路)以外の「他の経路」を、区間変更の手続なく乗車することができる(旅規第157条第2項)。

読むだけでは何がなんだかよくわかりませんが、要するにある駅とある駅において、その区間を行く行程が2つ以上選択可能な場合があります。
その場合、実際に計算で発行した乗車券の区間以外で、それが選択乗車の範囲で認められている区間であれば、発券された乗車券を変更することなく、その経路を使ってもいい。
こういった特例を設定している区間や範囲が存在する。
というのが選択乗車のルールです。


しかしながら、この選択乗車は特例であり、またそれができる区間も限られていて、公にするのが面倒なので発表されていません。
ただし、これに目を付けたマニアが色々考えてこう解釈することもできることが分かりました。

選択乗車は大都市近郊区間内という範囲で設定されているところがある
選択乗車のルールでは、実際に利用する経路にかかわらず、安い経路の乗車券を発行することも可能

これが大回りの原点となった拡大解釈です。
そして、現在の営業規則ではこの拡大解釈を違法とすることは限りなくできないと言ってもいいです。
それをはずして取り締まるための術がないのが事実だからです。
よって、この拡大解釈はマニア側が立証して行うだけで、鉄道事業者側が決して『やってももいいよ』ということを言っているわけでもないですし、大回りという行為に関する根拠はこれっぽっちもありません。
これがこの大回りの自己防衛に関するところとつながります。
鉄道会社が決して大回りを認めているわけではありません
↑ここは大事なところです。
選択乗車そのものは営業規則にのっとった立派な規則ですので、これは鉄道会社側も認めます。
しかし、それの拡大解釈にあたる大回りは自己責任です。
ようするに

選択乗車の特例を大都市近郊間に適用したら、こんな解釈ができることがわかってしまった。
かといって、現在の段階で取り締まるのは選択乗車の特例を撤廃するしかない。
特例を撤廃するほうが、確実にマイナス面でリスクが大きすぎるので、大回りというものをわかっていながらも黙認せざるを得ない

偶然できてしまうことが、マニアによって証明されてしまった副産物なんですね。
だから、大回りがどうして可能なのか、自分で証明できなければ不正乗車になってしまうのです。
この行為は鉄道会社側からすれば、何も保証されている行為ではありません。
失敗してもそれはすべて自分が悪いということになります。


今回は長くなりましたのでここまで、次に続きます。