JR東海371系、あさぎりより撤退

みなさんご存じかと思いますが、来年3月をもって371系があさぎり号の運用から撤退します。
ということで乗ってきましたJR東海371系



これは本厚木駅入線の時の371系

JR東海371系は1991年3月に運転を開始した車両。
当時は松田を経由して、新宿-御殿場を結ぶ連絡急行『あさぎり』*1小田急の3000形SE車*2で運転してました。
SSEは1957年製の車両で、1991年の時点で車齢34年。
すでに老朽化も目立ちこのSSE車の置き換えと同時に用意された新車が、小田急20000形RSE。
そしてRSEの投入と同時に運転区間が新宿-沼津になり、JR東海もRSEと同等車両を用意して小田急の片乗り入れから、相互乗り入れに変わりました。
それが1991年3月のことで、その時にJR東海が用意した車両がこの371系です。
当時は新幹線ばりの斬新な流線形スタイルに加え、ロマンスカーの売りでもある大型全面展望の車両で話題になりました。
7両編成のうち、4号車と5号車は2階建て車両で2階席は2+1配列のグリーン車となっています。
このグリーン車小田急線内でもワンランク上の車両扱いになっており、小田急内ではスーパーシートという呼称で通っています。


1991年から運行している371系あさぎり号ですが、乗車率は芳しくなく21年目にあたる2012年3月に運用からの撤退が発表されました。
あさぎり号自身は小田急の車両だけで運行されます。
しかしながら小田急は現在複々線化工事を進めていると同時に、完成後にD-ATSを稼働させる方針で所有車両を次々と豊川の日本車輛に送り込み、D-ATS搭載工事を実施しております。
しかし、すでに廃車がほぼ確定的な10000形Hi-SE、廃車が公式にアナウンスされた5000形には施工されません。
さらに、ここにきて元々D-ATS搭載しない予定だったはずの7000形LSEが まさかのD-ATS搭載工事を行うという事態が発生した状況にも関わらず、20000形RSEはD-ATSの搭載を現在も行っていません。
このままですと、D-ATS使用開始後の小田急線内では走行できなくなります。
また、厄介なことにJR東海もATS-PTを御殿場線にも導入することを決めています。
371系はこのATS-PTは搭載していますが、20000形は搭載しておりません。
よって、RSE、371系のあさぎり号存在自体が非常に危険な状況です。
現在小田急の車両軍で御殿場線に入れるのはRSEのみ、設備面での改造工事を行えば60000形MSEも入線できますが、そこまでして御殿場線に入れる気が小田急にはあるかないのか?
ただ、少なくともJR東海側にはやる気はもうなさそうです。


そんな状況ですが、実際に乗ってきた感想を。
某駅であさぎり号の切符を買いました。
私が乗ったのはグリーン車の1列シートですが、座席表には一つとして埋まっている案内がありません・・・・
つまりは

誰も乗っていないww
座席位置を指定する際に駅員に『選び放題です』と言われてしまった・・・
普通車でもポツポツしかのっていません。


そんな1列シートですが

座席そのものは快適で、こんなにリクライニングします。
しかも、これだけ倒しても後ろとぶつかりません。


さて、そんな乗車率が非常に悪いあさぎり号ですが、新宿-町田-本厚木は比較的混雑するくらいに利用客はいます。
特に休日の2号は新宿着が9:58ということで、ラッシュアワーにぶつかります*3ので、町田あたりからは新宿に向かう乗客もいます。
7号は新宿発17:44で平日は町田まではほぼ満席で、休日も町田までは大盛況です。
なので、小田急-御殿場線を跨ぐ客が非常に少ないんですね。
またぐといえば、

この連絡線を通る列車はあさぎりのみですが、そこの動画です。
もしあさぎり号が無くなるとなれば、ここを走る定期列車は無くなってしまいますね。
ちなみに、ここにはデッドセクションがあることは知ってました?
小田急は箱根湯本構内のデッドセクション*4もありますので、結構デッドセクションに縁がありますね。


御殿場線に入った後、駿河小山でほとんどの乗客が降りました。
駿河小山はバスや自家用車の自動車交通では、実は盲点を突く位置にあります。
この区間の最大かつ最強の交通網はすぐそこを走る東名高速ですが、松田町の大井松田インターの次が山間を通過する関係で、開けたところに位置する御殿場インターまで長い区間何もないのです。
駿河小山はその間にある町で、御殿場まで行くと行き過ぎ、大井松田で降りると遠いうえに山越えになり、さらには国道246号線がそこまで整備されてないため時間がかかります。
したがって、東京と駿河小山をピンポイントで結ぶあさぎり号は、結構重宝されているのかなと感じました。


御殿場に到着すると結構な人が乗ってきました。
残り沼津までのわずか30km位の短距離ですが、じつはこのあさぎり号は御殿場-沼津の区間だけ自由席を設けています。
特定特急券を購入すると、この区間だけ乗れるので意外にも短距離乗車は多いです。
値段も310円なのでお手頃なのでしょう。



終点沼津に到着。
ざっと感じたところでは、やはり乗客は少なく御殿場線区間は苦戦中ですね。
ましてや新宿-沼津を乗りとおす人は皆無の状況のようです。

*1:小田急線内では特急扱い

*2:当時は短編成改造の上SSEと改名していた

*3:新宿に向かう私鉄には新宿10:00前後到着でもう一度ラッシュアワーがある

*4:箱根登山鉄道の管理所有だけどね