キハ283事故

JR北海道のキハ283の事故はとても悲惨な事故でした。
幸い死者は出なかった模様ですが、この事故いろいろ不可解なことが多すぎます。
ということで、今回は私あくまでも個人的な見解でこの事故を見てみたいと思います。


まずは情報を集めてみました。
事故の状況です

1.4両目の推進軸が落下したのを確認
2.5両目が脱線
3.客室内に白煙が舞う
4.トンネル内で緊急停止
5.火災を起こしたのは5両目(今回のキハ283は6両編成)
6.6両全部が全焼

こんなところですかね。


まず最初に言っておくと今回の事故ですが、火災の衝撃度合いがすごく大きいのであくまでも火災事故になっていますが、この事故は火災事故ではありません。
部品の欠落の問題による事故ですね。
その結果火災に至りあんなことになったということです。
いわゆる1次被害が部品の落下で2次災害が火災ということになるのですが・・・・
鉄道専門用語でキハ283はディーゼル動車*1と呼びますが、当然燃料を積んでエンジンで動力を得て走っております。
この燃料はディーゼルエンジンなので軽油ということになります。


いまさらですが、私の本業はディーゼルエンジン関連ですので、まぁ普通の人よりは多少軽油については心得ております。
なので、敢えてこう書きますが軽油は燃えません。
しかし、今回の事故は思いっきり軽油が轟々と燃え盛っております。
私はまずこれに驚きました。
灯油やガソリンと一緒にされると困りものですが、燃料と名乗っている以上確かに軽油は燃えはします。
しかし燃えないのが軽油です。
なんという矛盾なことを書いているかと思うでしょうが、軽油とはそういう物です。


1.4両目の推進軸が落下したのを確認
まず私も詳細をよく知りませんが推進軸と呼ばれる部品が落下したことが分かっています。
この部品は動力伝達のための部品と思いますので、おそらくは6両編成全部に載っている部品だとは思います。
そのうち4両目の部品が落下した模様です。


2.5両目が脱線
走行中ではその一つ後ろの車両になる5両目が脱線した模様です。
おそらくは4両目の落下部品を噛みこんだものと推測します。


3.客室内に白煙が舞う
さて、この現象ですが5両目の客室らしいとのことです。
白煙が舞うということですが、乗客は相当びっくりしたと思います。
そもそも白煙は何かということになりますが、普通の人であれば何か燃えたと思うのが筋でしょうね。
昔から『火のないところに煙は焚たない』などと言いますが、実はこれは嘘です。
火が無くても煙は出ます。
特に白煙というものは燃えてでてくる煙ではあまりみられません。
この白煙はテレビや新聞のカラーで私も実際に見ましたが、火災ではなく、油脂の蒸発であると思います。
実はわたしはこれと同じような白煙を何度も実体験してまして・・・
主要因は大抵金属摩擦による瞬間的な蒸発だと思います。
おりしも5両目は脱線したということですから、レールと台車の間に火花が出るくらいの摩擦が発生したと思います。
金属の摩擦熱はかなりの高温になります。
旋盤で回して刃で削るときでさえ、金属が変色するくらいに熱くなります。
水はおろか油でさえあっという間に蒸発する温度に達します。
この摩擦で軸受け油などの潤滑系の油が蒸発して、客室に充満したのではないかと思っています。


4.トンネル内で緊急停止
これは論外です。
今回はとにかく止めようと頑張って、キハ283の運転士がブレーキをかけたのですが、完全に停止したのがトンネルの中だったということです。
とりあえず、一生懸命止めたのですが結果が悪すぎ。
意図的にトンネル内部で止めようとしなかったことは認めますが、いかなる事態に於いてもトンネルで止めるのは論外です。
しかし止まった物はどうしようもない。
脱線しているから、止まってしまったらもう動かないでしょう。
ならば乗務員はまず乗客を外に出し、とにかくトンネルから出すのが先決であったはず。


このあとテレビでトンネルから脱出した人のインタビューを見たのですが、その人は顔が真っ黒でした。
真っ黒ということは、黒煙が焚いてあるということでつまりは軽油が燃えだしたということです。
真っ黒な物は煤ですからこの時点で、とうとう軽油が燃え始めたということですね。


5.火災を起こしたのは5両目
火災を起こしたのは5両目の燃料タンクから漏れた軽油が発火した模様。
しかしながら先に書いたとおり軽油は燃えません。
軽油を燃やすには2つ条件が必要です。

空気があること
引火点を超えていること

この状態であれば、火種があれば軽油は燃えます。
タンクから漏れたということは、空気に関しては条件を満たしていますが、引火点に関しては謎です。
軽油の引火点は、流動点を変えて凍りにくい極寒冬季用の特3号軽油でも50℃。
一般の2号軽油に至っては55℃〜58℃です。
つまりタンク内部の軽油がすでにこの温度以上に達していないと、漏れた軽油は燃えません。
ですので、タンク内部ですでに引火点を超えた可能性があります。
気温が10℃〜20℃のこの季節では気温で引火点を超えるのは不可能です。


6.6両全部が全焼
事実として軽油が燃えました。
キハ283の軽油タンクは各車両ごとに約200リットル積んでいたようです。
仮にすべて引火点に達していて、どこか1両分の200リットルでも燃えてしまえば、もうどうにもできません。
200リットルの燃料を燃やしつくすまで燃えるしかありません。
そしてもう一つ問題だったのがトンネル内部だったこと。
トンネル内部では熱の逃げ道が狭められるので、炉のような状態になってしまいます。
これが今回6両全焼の要因の一つです。


時間がないので、以降追記予定>

*1:気動車という言葉は内燃機関鉄道自走客車の総称なので、正確ではない